白緑

「やけに察しが良いのは外部生やから‥ってだけやないみたいやな」

回想している間に大きくため息を漏らした俺を見てそう察するミッキーも、なかなかに洞察力が鋭い。


「あー‥まぁ。ちょっと家族が特殊な感じで。」


兄がmen's雑誌モデルの"翠"だという事は昔の学校の友人にも言っていない。わざわざ地元から電車で一時間ほどかかる学校に通っていたのも身バレを防ぐため。バレたら兄に近づきたいが為に友人になりたがる人が出てくるというのが現実な訳で。
そんな俺は常に家族を隠して生きてきた。参観日に親が来た事すらない我が家は、何か複雑な事情があるのでは‥なんて噂もあったっけ。


「ミッキーも格好いいから実際付き合いを敬遠したい所だけどね」


俺の言葉は予想外だったのか、はとが豆鉄砲を喰らったような表情をしたミッキーは、折角のかっこいい顔が台無しなすごく間抜けな面をしていた。
唖然としたままのミッキーを横目に翡翠色の扉の前に立ち、財布からカードキーを取り出すと溝にスライドさせた。
解錠されたドアを開くと見慣れない広い空間へと足を踏み入れた。

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