「なんで?」

家に誘ったの?と聞くと、彼は、だって、とCDの入った棚を見つめたまま真面目な顔をして言った。

「滝川くん、学校で興味本位に聞かれるの嫌でしょ?」

知っていたのか。知っていて、彼がわざとその話題を避けていたのか、と滝川は妙な思いにとらわれる。

「こう言うのこんなふうに聞くのは忍びないんだけどさ、視えるの?」

彼は、直球で聞いた。

「見える。」

そうなんだーっと間延びした様子でうなづく彼はそっかそっか、と言いながらへらりと笑った。

「滝川くん、いつもはぐらかしちゃってるからさ。」

そう言いながら一枚CDを抜き取って彼は裏返してそれを眺めた。

「本当に、とか聞かないの?」

大抵、滝川に視えるの?と聞く人は真偽を確かめようとする。
彼は、手にとったCDから目線を上げて、滝川を見た。

距離が、近いと思った。

「事実なわけだろ?それは、」

彼は、真顔のままそういったのだった。





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