ぱちぱち、と暖かな焚き火の音がした。

重い頭を動かすと、額の上に乗っていた何かが落ちた。


もう一度それを乗せられて、だれかの声がする。

「もう少し、寝てなよ。」

聞かないといけないことがあった。


「、…は?……巧は、どうなった?」


「君は巧の人?残念ながら白薙が落ちたって聞いたよ。」

あぁ、死んだのかと思った。(そして自分は生きている)


「名前はなんて言うの?あ、僕は利広ね。」


「…なまえ、」


「うん。名前がないと呼べないから。」

霞む思考で、朔掩は可哀相なあの人がくれた名前を頭に浮かべた。


「……朔掩…」


「朔掩だね。まだ熱があるからもう少し寝たほうがいいよ。」

男のその言葉につられるようにして、朔掩は深い眠りについた。

PREV(12/12)NEXT