ひずんで愛情

現代パラレル 近親相姦
(父×キッド)


視界が揺れる。一向に定まる気配の無いそれは、ただ天井を見つめていた。父さんは俺を殴る、蹴る、毎晩繰り返し犯す。此の行為は全て愛情なのだと俺は信じてた。父さんが幼い頃そう言っていたから、俺はその言葉を鵜呑みにこの数年間を生きてきた。





蹴り上げられた腹が痛い。叩かれた頬もひりひりと疼いている。自分のそれとは比べ物にならない位の逞しい腕と身体と、その他色々。性別は同じでも、大人と子供で此れ程まで違うものなのかと、ガキながら吐き気を堪えて冷静に思った。

薄い綿の縒れた布団の上で、父さんの身体はうつ伏せの俺に伸し掛かかっている。最初の方はしっかり支えとなっていた俺の細い両腕も、今となってはグニャリと折れ曲がり、色褪せた畳に爪を立て苦痛に耐える物と化していた。

「い‥!ッヒッ‥あァ‥」

ガリガリガリ。勢い良く引っ掻いた畳の藺草が指の先端に突刺さる。然しそんなちっぽけな痛みより、俺は身体に与えられる鈍く内臓を圧迫するかの様な強い不快感と快楽に声を荒げた。限界を訴えへばる自分のガキを余所に、父さんはそれでも尚俺の腰を掴み上げ腰を振るう。父さんの愛情は踏張らねぇと受けとめきれねぇ程壮大なものだった。

うちには母親が居ない。父さんと俺の二人暮らしだ。俺を生んで直ぐに死んだらしい母親に恋しさなど沸くはずも無く、物心付いたときから男手一つで俺を育ててくれた父さんのほうが俺のなかでは偉大で大きな存在だった。母さんが居ない分父さんは俺で欲求を満たす、…これは最近知ったことだ。実際セックスってのは異性同士の間で行う愛の行為らしいが世界は俺が思うよりも遥に広ぇ、それに父さんには愛の行為を行う対象が居ねぇ。…そこでだ、その“代役”として俺に白羽の矢が向いた

始めてのセックスは確か12歳の誕生日だった気がする。甘ったるいケーキと年に一度の馳走を平らげた俺を、父さんは何も云わずに床へ押し倒した。背中に感じた小さな衝撃と、急に視界に入ってきた父親の真面目な表情に唖然とする俺を余所に父さんはポツリと呟いた

『キッドは父さんが好きか』

コクリ、細い色白の首を反射的に縦に振ったこの行動が、今後の俺の人生を大きく変えたのだった。その後は云わずもがな、俺はまる一晩床で犯される羽目になる。異様な不快感と排泄器官を抉開けられる激痛に泣き叫んでも、父さんは止めてくれなかったのだ。腹を圧迫された所為か折角食べたケーキも馳走も、直ぐに吐き出した。

その日を境に、父親とセックスを繰返す横道な生活がズルズルと続き、気が付けば早くも3年の月日が経っていた。15歳になった俺は今でも父さんの愛を受け止めている。3年前に比べれば身体だって成長したし、この行為がなんなのかすら薄々気が付き始めた。人間の慣れとは素晴らしくも哀れなもんだ。今となっては父さんと行う性交渉に快楽を感じ始める迄に成長したのだ。俺の身体は随分と浅はかならしい

「ひっ…ああ…あ‥」

父さんの腰の動きが僅かに緩慢になる。真っ赤に潤んだ瞳で後ろを見上げれば、父さんは気持ちが良さそうな表情で俺の腹の中に精をぶちまけた。ドロリ、腹部に熱い物を感じた俺も耐え切れず、何度目になるか分からぬ射精を布団の上へと吐き出した。ずるりと腹から抜き出されたそれにピクリと肩を揺らしながら動かぬ身体と脳をそのままに、俺は精で汚れたシーツの上に身体を沈めた。ふと見上げた父さんは、困憊(コンパイ)する俺を余所に衣服を正して、何も云わずに何処かへ出かけてしまった。

性交後の独特な匂いの籠もる部屋に残された俺は、ぼんやりと天井にぶら下がる剥き出しの電球に目を向ける。ジジジッ。虫の鳴くような音だけが部屋に響いた

「‥‥‥‥」

父さんは俺の事を愛していないらしい。これも最近気が付いたことだ。其の事について同じ学校の同級生である、トラファルガーやキラーに相談したくても、父さんがセックスは俺と父さんの秘密事だと言ってたから俺は誰にも言わなかった

腹に残る妙な違和感。早くトイレに行って掻き出さなきゃ、腹を壊すのは経験上覚えたことだった。然し身体が異様に重く、腰が動かないからと俺の脳は身体を動かすことを諦める。きっとこの調子じゃ明日の学校は休む羽目になりそうだと眼を半分目蓋に閉じながらキッドは考えた。

父さんが行ったであろう、愛人の若い女の家から帰ってきたら、父さんはまた俺を犯すだろう。愛が無い行為だと分かっていても、父さんが一言愛してるって言ってくれるなら、誰がなんと云おうと俺はこれが“愛”だと信じている

20101210




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