痛い。眼下で円堂がはあっと熱い息を吐いて、全部入ったといらない報告をくれた。生々しすぎる。息をするだけでひくりと筋肉が動き、その前触れのない動きに円堂は息をつめた。


「…っごうえんじ、」


湿った声で呼ばれて、いつの間にか逸らしていた視線をそちらにやった。湿っているのは声だけではなく、額や首筋、全身がじっとりと濡れている。汗と、汗。汗をかいた手を握りあい、きゅうきゅうと指に力を入れた。息が上がって、鼻から詰まった声が漏れる。


「は、うっ…動いて、い?」
「あぁ、大丈夫だっ…、」


何もかもを押さえ込んだような声しか出せない。しかし妙な声を上げることだけは避けたかった。「本当に大丈夫か」と円堂が聞いてくるが、声を出すことができずに無言で頷く。

本当は下半身が千切れたんじゃないかと思うほど痛い。しかし見上げた先の円堂もひどく辛そうな顔をしていて、お互い様だと思うと頷くことができた。繋いだ手を更にきつく握られて、言い知れぬ感情がこみ上げる。


「豪炎寺…いま俺たち、ひとつだ」


円堂がへらっと笑って言うものだから、この世のすべてのそれを知ってしまった気がした。痛みと熱に相俟って込み上げたものをぐっとこらえて、円堂の律動を受けとめる。名前を呼べば握り返してくる手のひらが、息が、苦しくてたまらない。




110310
幸せすぎて




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