「ハァ、ハァ……」


熱い…額に滲む汗をハンドタオルで拭くと、部屋を見回した。

大量のペットボトルは、コンビニでごみ袋を買ってきてマンションのごみ捨て場に置いてきた。24時間捨てられるって便利だ…。

洗濯物の山は洗濯機を三回回した。洗濯洗剤だけたったのでこれもコンビニで漂白剤と柔軟剤を買った。七松課長宅の洗濯機は乾燥機能付きで、扉を開けたら終了した服がそのまんま入っていた。

風呂を覗くと詰め替えの空が角に山になっていた。しかも…口を開け入ったままの詰め替えが鎮座していた。最終的に面倒になったんですね…?詰め替えるのが…。容器に移し替えて買ってきたスポンジで風呂場を掃除した。

台所はピッカピカで、料理全くしてないのがわかります。だけど無駄に調味料各スパイス取り揃ってるんですけど何でだろう?と思いながらキッチン下の収納を何となしに開けて驚いた。


「た、大変だ…」


そこにはどう見ても女性用のエプロンが入っていた。今まで全く頭に浮かんでこなかったけど、七松課長に彼女が居てもおかしくない。きっとあの無駄に揃った調味料も彼女が来たら料理をするからだ…!

私は部屋をぐるりと見渡した。
どう考えても七松課長には出来ない程綺麗に片付けてしまった。あっ、あの洗濯カゴだってカラフルで可愛いなあとか思ったけど彼女が買ったんだ!!七松課長が洗濯カゴなんて買うわけない!!
サアッと血の気が引いて、私は慌てて上着と鞄を掴むと音を立てないように部屋を出てそこからはひたすら走った。とにかくこのマンションから離れなければいけないと思った。


「か、彼女が居るなら居るって言えよぉー!」


好きになっちゃった後でわかるって、私はどんだけついてないんだ!





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