「え?帰るの?」

「…え?」


朝食を食べるために駅前のファミレスに来た。七松課長は相変わらず朝から凄い食べっぷりだった。もういっそ清々しいわ。食べ終えて店を出ると別れの挨拶をしたら七松課長はきょと、と首を傾げた。え…?だって、駅前だし、電車目の前にあるし…。


「帰るのか?」

「か、課長、予定とか…」

「んー、特にないなー。お前あるの?」

「いや、無いですけど…」


そりゃ一緒に居たいけど、でもお風呂入りたいし、服も昨日のままだし…。どうすればいいのか考えていると、七松課長はわかった!と言った。


「お前、家に帰れ!」

「は、はい…」


さっきまで帰りたいと思っていたのに、いざ七松課長に帰れと言われると寂しいなぁ…。


「それで、準備して戻ってこい!」

「え?準備?」


一体何の準備…も、もしかしてお泊まりセットって事かな…!わ、わぁ…!頬を赤くさせて七松課長を見ると、うんうん頷いていた。やっぱり、



「私の家に住む準備だ!」



「………え?」

「まぁ引っ越しは追々滝夜叉丸に車出させて手伝わそう。とりあえず出勤出来るようにしろよ!」

「あ、あの、え!?住むって、え!?!??七松課長の家にですか!??!?」

「そうだ、一緒に住むぞ!人と住むなんて久しぶりだなー。楽しみだー」

「課長ちょ」

「昼には戻ってこいよ!管理人のおばちゃんに話通しとくから挨拶行くぞ!じゃーな!」

「ちょっとまだ理解出来て…か、課長ぉおおおおおおぉぉぉ!!!!!!」


七松課長は私の言葉を全く耳に入れず、戻るまで私はマラソンだー!と走っていってしまった。一瞬で見えなくなった。残ったのは挙げた手を下ろせぬまま固まった私だけ。



「課長!話を聞いてください!」



思わず叫んで、人の注目を集めてしまった事に気付いて逃げるように改札を抜けた。





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