七松課長の言い付けを破ってしまった私。だって、コピー25部って正直結構重たかった…。登りは歩いたから下りはこっそりエレベーターに乗ったのだが、開いたエレベーターに乗り込むと大声で指を指された。


「あっ!お前昨日の…!」

「………あっ!」


昨日の痴漢おじさんと出会いました。まさかここの社員だったのか…!?


「お前、受付か?よくも昨日は恥かかせてくれたなぁ…!万引きなんて変な罪着せやがって」

「そっ、そんなの、痴漢で警察呼ばれるよりいいじゃないですか…!」

「痴漢?何を言ってる。カゴが当たった位で。欲求不満なんじゃないのか?」


エレベーターの扉が開いて、ドンッと押されて外に出された。コピーの束が床に散らばる。ここ、何階だろう。よくわからない。


「ちょっと、コピーがバラバラになっちゃったじゃないですか!」

「ふん、そんなの、どうせくだらんもんだろう。それよりお前、言っておくけどな、受付の首ぐらい俺にだって切れるんだぞ。俺は人事部だからな…会社に残りたければ、それなりの対応が必要なんじゃないかぁ?」

「は、はぁ?」

「大体、そんな制服の着方をするんだ。お前会社に男あさりにでも来ているのか?」


何なんだこの人…!カッと頭に血がのぼり怒りで涙が滲む。このフロア、普段使われていないのか人の気配がないし、電気も点いてなくて廊下は薄暗い。徐々に近寄ってくる距離に嫌な展開が頭を占めた。
セクハラ?パワハラ?ニュースでたまに見る、ああいうやつ?私何されるっていうの? 怖い!


「なっ、七松課長ーー!!!」


私は咄嗟に叫んだ。目の前の男は、何を言ってるんだと馬鹿にした笑いをした。ぐいっと無理矢理腕を掴まれる。


「抵抗するのか?首になってもいいのか?」

「やっ、止めてください!大体こっちが警察に言ったら捕まるのそっちだからな!」

「そうか。じゃあ脅す為に裸の写真でも撮らせて貰う」

「さっ…最ッッッ低…!」


ドンッと壁に叩きつけられて頭を打った。痛みが強くて抵抗出来ない。くそぉ、こいつ、何してきても絶対警察に言ってやる…!





「おい。何してる」





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