天女様が決断した次の日。天女様がお城へ行くという噂はあれよという間に広がった。学園長へ報告に行った時に、学級委員長委員会を使って流してもらうようにお願いしておいた。これでくのたまと忍たまの衝突も起きないだろう。昼頃には、くのたま達の雰囲気は良くなっていたから。


「あき!久しぶりだなー、いつ帰ってたんだ?」

「七松君。昨日だよ。ただいま」

「おかえり!」


久しぶりに見る彼の笑顔にホッとする。揺れる髪の毛を纏める髪紐が、男らしからぬ桜色で思わず笑ってしまう。


「ん?何だよ」

「ううん、何でもないの。綺麗な髪紐だなぁと思って?」

「…あぁ!そうだろう。一等大事な髪紐だからな!」


笑う理由がわかって、得意気にそんな事を言われると照れてしまう。無意識で喜ばせるような事、言わないで欲しい…。


「なぁ、天女様の噂は聞いたか?」

「あぁ。お城へ行かれるんだってね」

「そうなんだ。やっぱり天女様は凄いなぁ。お姫様になるなんて、ただの人間ではなかったのだな!それにな、その噂を聞いてから、皆ピリピリしていたのが無くなったんだ」


話をする彼が喜んでいるのがわかって、私も嬉しくなる。くのたまの様子も伝えると、七松君はそうか!とにこにこと笑った。よかった。やっぱり彼には笑顔が一番似合う。


「よかったね」

「あぁ!後な、今朝天女様に行く城はキヌガサタケ城だと聞いた。私が内定を貰っている城だったんだ」

「そう」

「天女様は危なっかしいから、私がちゃんと守ってやらなきゃなー」


七松君に笑ってほしくて、これは私がやった事だ。だから天女様を羨むなんて間違っている。


「七松君が居るなら安心だね」





である彼の傍。
(そこに私は居ない)

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