忍たまとくのたまの関係がぎすぎすしていて、いつ誰が喧嘩を始めるかわからない状態が続いた。授業にも支障が出るのではと思ったが、先生もわかっているのかくのたまと忍たまの合同授業はどの学年も行われていなかった。


「あき。あなた恋仲の七松を取られて怨みはないの?」


朝の授業が始まる前で、上級生は皆教室に集まっていた。天女様をよく思っていない彼女達のリーダーと言える奴がそんな事を言う。周りの目は、同情、哀れみ…。
だけど解る。彼女達の本当の理由は慰めることじゃない。


「…七松君と私は恋仲じゃないよ」


まぁ、好き合っているけど。そういう言葉の約束が無いし。


「だとしても、傍目から見たらそうだったのよ。それをあの人のせいで、あまり会う時間も減らされたでしょう?可哀想ね」


あーあー。見えた見えた。私のスイッチを押して激昂させて、主犯を私にする気か。

だけど、そんなスイッチ最初っから入ったままなのよ。


「可哀想に、見えるの?七松君は天女様が来てからも、私への態度は変わらないし、他の皆だってあの輪の中に天女様が入っただけで何も変わっていないよ。それにあなた、好きな奴に振られたんでしょう、天女様が好きだからって。よっぽどあなたの方が可哀想だと思う」

「な、なによ!あなたに関係がある!?」

「無いよ。だから、私の事もあなたに関係が無いよね?あと言っておくけど、私が怒ってるのは憐れまれた事じゃない。私をダシに使おうとしたのが解ったから。自分で行動を起こすつもりもないのに、そういう計画を建てるのはよくないよ」

「わ、私は別に何も…」


そこでシナ先生が下級生とこちらに向かってくる声が聞こえた。彼女はまだ何か言いたそうだったけど後味悪そうに顔を歪めて席に着いた。

天女様が七松君を好きで、そうして私との時間がなくなって悲しくないわけがない。怨みが少しも無いなんて、そんなはずない。
だけど天女様を怨むよりも、七松君に嫌われる事の方がよっぽど怖い。
だから私はどちらにも着かないままだったけど。





心配なのは彼が悲しむ事。
(そろそろ、どうにかしないといけない。)

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