「そう言えばさ、小平太って天女様が好きだったの?」

「え?どういう意味?」


体育委員会で塹壕を堀っていたら、たまたま塹壕にひっくり返っている伊作がいたので引っこ抜いてやると、お礼と一緒にそう聞かれた。


「どういうって…違うの?」

「いい子だと思う!だが、それだけだな!」

「そうだったのかい?僕達はてっきり小平太は天女様が好きなんだと思ってたよ…ほら、天女様が来てからほとんど一緒に居たろ?話す事だって天女様の事ばかりだったし」

「それはあっちが寄って来るから話していただけだよ。天上の話は摩訶不思議だから聞いてて面白い」

「へぇ」


言われて初めて気付いた。周りにはそう見えていたのかー。確かに居なくなって気付いたが、授業と委員会以外の時間は大体天女様に話し掛けられていたように思う。だから勘違いされたのか?私が好きなのはあきなのに。

でも、伊作達がそう思っていたって事はもしかしたらあきにも勘違いされている可能性がある。そう言えば、天女様に呼ばれた時、袖を掴まれた事があった。傍を離れる時、暗い表情をしていた時もあった。学園を発つ前に、何か言いかけていた。


「あきに寂しい思いをさせてしまったのかな…よし、帰ったらハッキリと言ってやろう」


考えたら思いを口にした事がなかった。あきが帰ってきたら、お前が好きだと伝えよう。きっと喜んでくれる。笑ってくれる。あきは笑顔が一番可愛いから。あきの笑顔が浮かんで思わず笑った。

あき達が出て三日。キヌガサタケ城までは、籠で歩いて五日は掛かる。帰りはあきだけだから、三日も掛からないだろうな。





君の声に気付かない私を許して






「そう言えばさ、天女様が発つ前日に、薬を頼まれたんだ。それも毒薬だよ。使うつもりはないけど、万が一の時には情報を漏らさないように即死できる物をくれって。これは地上で生きるための覚悟だから頼むって」

「へぇー。今まで平和な場所で暮らしていたって言っていたのに、しっかりしているなぁ」

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