「小平太君、聞きたい事があるの。ちょっといいかな?」

「あぁ、わかった!」


天女様が来てから、七松君が私に会いに来てくれる回数も時間の長さも減った。
天女様がお城へ行く事が決まってから、その時間も減らされる事が増えた。
七松君は、身分は違えど同じ城に行く仲間だからと、天女様を大切にする。

掛けていた腰を上げて行ってしまおうとする七松君の服の裾を思わず握り締めた。


「?あき、どうしたんだ?」

「あきちゃん、お話し中ごめんなさいね。だけど、あきちゃんはまだ学園で一緒に居られるけど、私はもうすぐ離れなきゃいけないから…いいよね?」

「…あ、はい。ごめんね、七松君」

「じゃあ行こう。長次君と話していたらね、小平太君が面白い事をするって聞いて、それを見せて欲しいの」

「ん?何だろうな」

「えー、わからないの?おかしいなぁ」


遠くなる会話を耳が拾っていく。

天女様、あなた、彼が卒業をしたらずーっと一緒に居られるじゃない。

だけどそんな子供の我が儘みたいな事は絶対に言えない。言いたくなかった。
くのたまとして六年間学んできた全てが子供じみた自分を否定する。





君の。に居たのは私だった。

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