「ただいま…」

「ん?…ぉわっ、久しぶりに見たわ。あきの滝涙」

「それだけか?本当に酷い奴だ…。あきちゃん励ましの会開催して下さい」


それだけ言って押し入れから布団を引っ張り出してくるまった。友人は、しばらく何も言わずに部屋に居たけど、どこかへ行ってしまった。あいつは何だかんだ、励ましの会を準備しに行ったんだろう。お茶とおにぎりとか持ってきそうだけど。

鉢屋くん、すごい怒っていた。私は確かに、昔っから口癖のように謝ってきた。それは暗い過去があって…とか悲劇のヒロインではなく、母親にそう育てられたからだが。

私の家は兄弟が多く、末っ子だったので甘やかされて育った私はいつも自分の欲しいものしたい事は泣き狂い怒り狂いで狂いまくって押し通していた。だけど大きくなるにつれ、兄弟たちは私のわがままを注意するようになり、放置するようになりとなったときに母親に、「自分が悪いと思ったら、すぐに謝りなさい。時間が経てば経った分、謝る事は難しくなるから」と言われてからは渋々そうやってきた。まぁ、今ではすっかり染み着いているわけだが。
今まで謝ることがダメだと言う人に出会わなかったけど、鉢屋くんの言う意見だって最もだ。言葉には魂が宿ると言うし、大安売りの様にごめんなさいを連発する私の謝罪言葉の薄っぺらい事よ…もしかして、そこが気に入らない、とさっき言いたかったのでは?まぁ、どのみち同じ結末か…。
手拭いが絞れるくらいになったので、一度部屋を出て絞った。お盆を持って戻ってきた友人は私を見て一言、「まだ泣いてんのか」だからお前はデリカシーないなぁ!!そんでやっぱりお茶とおにぎりだし!!!


「まぁ、いいや…励ましの会やってくれるだけでも…」

「え?何それ、違う違う。これは夕飯」

「え?何でこんな早い時間に…」

「また忘れてるの?今日は、日暮れから忍たまと合同実習で鬼ごっこでしょ。忍たま鬼で、また食事抑えないと吐く可能性あり」

「よ、よりによって今日か…ショックで忘れてた…。」


私大丈夫かな…と独り言を呟いたら、「滝涙は止まってるから、まともに逃げられるんじゃない?」と返ってきた。たまにお前の薄情さが愛しいよ…。




back
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -