「す、好きですっ!付き合ってください…!」

「…悪いけど。」


私の告白は物の数秒で終わった。あぁ、友達の言う通りだった…何と無慈悲な振り方だろう…。というか、悪いけど。じゃないし。悪いけど何だよ気になるから言ってよ…!
と頭の中でハイスピードでめぐったけど実際は今にも泣いてしまいそうな涙を必死に抑え込んで、頭の中は悲しい、ツライ、泣く、死ぬ、好きの五文字が踊っていた。
最後にこんな近くで顔を見られることないから、と顔を見たかったけど顔を見れるかわりに泣きそうな醜く歪んだ顔を見られてしまうので諦めて大きくお辞儀をした。


「聞いてくれて、ありがとうございました」


最後で何だよこいつ礼儀なってるなとかポイント稼げないかと思ってしまう私はきっと性根が腐っている。そんな打算で繰り出したお辞儀に何の誠意も見られないだろう…。
お辞儀を直す勢いのまま背中を向けて走り出す。反対側を向いた時には滝のように涙が流れていた。早く長屋に帰ろう。同室の友人が、あきちゃん励ましの会を準備しているって言ってたから…。告白する前から失礼な奴だと思ったけど今はありがたい…。
しかし走る私を追いかけてきた声があった。


「ちょっと待て。やっぱり考える時間をくれないか?」

「はい?」


振り返った私の滝涙を見て彼・鉢屋三郎くんはギョッとしていた。というか、今、なんて?


「すいません。もう一度聞いてもいいですか?」

「ちょっと待て。やっぱり考える時間をくれないか?と言った」

「な、何故…」

「何でだろうな…大体の奴は返事もそこそこに走って逃げるが、君はお礼を言ったからか?そんな事より、涙を止めてくれ、びっくりする」

「これは、生理現象なので私にも止められません」


まさかのポイント稼ぎ成功!





2013/07/23

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