髪型よし。
化粧よし。
鏡に向かって笑顔よし。


「へーすーけくーん!学校行こー!」


私の1日はここから始まるのだ。





「………」

「ほーら!ほぉら!起きて!布団出て!制服着て!顔洗って歯磨いて!」


手を叩きながら急かすとフラフラと体を起こした兵ちゃんは目を閉じたまま手を伸ばしてくる。


「…ん」

「ぐは」


可愛い…可愛すぎるこの生き物!!!私が余所の迷惑考えろとママに怒られながらめげずに毎朝押しかけるのは全てこの貴重な生態を拝むためだ。覚醒してしまったら絶対に見られないからな。
片手で鼻を押さえつつ手をぐいっと引っ張るとノロノロと起き上がった兵ちゃんの目はまだ閉じたまま。ヨシ!まだイケる!!


「ほ〜ら兵助お着替えですよぉ…制服ハイ。早く着替えて降りておいでねー」

「…ん」


兵ちゃんに背を向けつつちらりと振り返るとシャツを私に差し出してくる。他はぼとりとベッドの上に落とすと兵ちゃんはおもむろにトレーナーに手を掛けて…み、見れる。兵ちゃんの肉体美…!


「……あれ、お前何やってるんだ」

「あ…お、はよ〜…」

「………」


カメラを構えて食い入るように見つめていたらパチ、と兵ちゃんが目を開いた。暫く瞬きを繰り返すと冷めた視線を向けられてシャツを奪われ、そしてそのまま部屋から追い出されてしまった。チッ…あと少しだったのに。


申し遅れましたがわたくし兵ちゃんの幼なじみ。片想いの年数は二桁突入してしまいました。


 
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