「次屋」

「なに」

「私はもっとどうするべきでしょうか」

「…大木はもっと乳をデカくすグハッ」

「最低。次屋最低!」

「俺に質問して返ってくる返事なんか予想できただろ…」


まぁ確かに…完璧に聞く相手間違えた。でも誰かに聞きたかったんだからしょうがないでしょ!
七松課長は一体何と言いたかったんだろう。気になって仕方がない。ちらりと課長を見ると遠野さんの髪が課長のシャツに引っかかって顔を赤くしてわたわたしている。どうやってそう言う状況になるんだよ…。


『お前、もっと』


もっと、何だろう。続く言葉としては○○しろ、だとかそういう感じだろうけど…。私あの時何してたかな、コーヒー淹れて課長に会ってばかって言われて、いやそう言えば何でばかって…あ、勝手に休憩取っちゃったから?課長、そんな事で怒ったりしないし、なぁ…ううん…。


「大木、この書類を経理に持って行ってくれないか。私はこれから外回りがあるから」

「あ、はい。行ってらっしゃい」  

「すまないな」


立ち上がって滝先輩から書類を受け取ると経理部に向かって歩き出す。そう言えばあの時松野さんも居たっけ。からかってくるから大声で怒鳴ったけど…もしかしてもっと女らしくしろとか?遠野さんみたいな人がタイプなんだとしたら、私は全然違うもんね…!でも女らしい私って…一体どういう風になれば。


「大木じゃないか!なんだ、書類か」

「神崎…」

「なんだ」

「…女らしい私ってさ」

「ははは!個性殺しだな!」

「だよね、ありがとう!」

「イテッ」


笑い合ったままおでこにチョップを食らわすとくるっと向きを変える。後ろから神崎のなんだー!と言う声が追って来たけど無視をした。私だって急に女らしくなる自分なんて想像も出来ないよ!でも、神崎は腹立ったので思わず手が出てしまった。まったく、次屋と言い神崎と言い、あいつらは女心の理解力ゼロだ。だからモテないんだ。まぁ七松課長にそれがあるかって言うと…あの人は直球で思った事言ってるだけだな…そう考えると七松課長の方がたちが悪い気が……。


「 おい、大木!三之助から大木が胸が小さいことで悩んでいるとラインが来たぞ!それならそうと早く言わないか!聞いてるのかー!大木ー!!」

「……神崎、シメル」


 
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