つまり課長が言うにはあの言葉は遠野さんに向けて言った言葉ではなくて私がいつまで経っても堅苦しいからもっと砕けて話してもいいって事だったんだろうか。あ、もしかして前に言いかけられた言葉の続きはそれだったの?私の取り越し苦労だったって事か。そうかそうか。わかりました。わかったから

誰か課長を止めて!


「んっ、ぁ、…課長、待ってくださ」

「嫌だ。凄く今お前の事、可愛がりたい」

「かわっ、…んん…!!」


途切れ途切れストップを掛けようと声を掛けても聞く耳を持たない。胸を強く押してみても、反対に手を取られて壁に押しつけられてしまった。課長、ここ、外!外ですよー!!


「は、はぁ、はぁ…」

「あき、可愛い。したい」

「ちょ、ちょっ……ひぁっ!」

「かわいい」


震える息を吐くと首筋に寄せられた唇が上がっていき耳を甘く噛む。思わず変な声が出ると腕を掴んだ課長の手の力が強まった。こ、これ以上はさすがに……!!どうしようと迷っていると七松課長の顔が再び近付いて来る。課長の目に熱が孕んでいる。ほ、本気だ。


「ごっ…、ごめんなさい!」


ゴッ、と近付いた顔に頭を向けて頭突きをすると七松課長の動きが止まった。見上げると驚いたのか固まったまま動かない課長。それからムッと不満そうな顔で見下ろされた。


「…大木ー……」

「す、すいません!でも、ここ、外です、から…っ」

「………わかった」


暫くじとりと睨まれていたけど心の底から困って言うと渋々納得してくれたみたいで、背中を屈めて拗ねた声で甘えるように抱き締つかれた。これは……か、わいい…。思わず頭を抱きしめると課長の腕に力が籠もって更に密着する。じわりと瞳が潤む。ああ、何か、今まで私が勘違いして苦しかったのもどうでもよく思えるくらいには幸せだなぁ…。
ゆっくりと課長が体を起こすのをじっと目で追った。視線が絡んでたった数秒がとても長く感じる。出来れば、中に入る前にもう一回キスしたい。なんて考えていたら課長が真剣な顔で口を開いて言う。


「帰ってもらおう」

「………………………え?」



 
back
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -