「滝ちゃん」

「あき…その呼び方はやめろっ!!」

「どーどー。あのね、お願いがあるの」

「?なんだ…」

「委員会がね、決まらなくて。滝ちゃんとこはどんな委員会?」

「体育委員会は止めておけ」

「え、どうして…」


滝夜叉丸はあきを見て、自分の委員会委員長を思い浮かべた。豪快に笑うあの人が女相手だと言って手加減するとはとても思えない。あきは優秀だが女だ。さすがにとても付いては来れないだろう。もちろん自分なら完璧にこなして見せるのだけれど。


「体育委員会は体力持久力が求められる。女には酷だぞ」

「む、私はね、女だからって見下されるのがいっっっちばん嫌いなの!」

「べ、別に見下したつもりはない。ただ私には劣るだろうと思っているが」

「よし、話聞いてないな?こうなったら意地でも体育委員会の見学に行ってやる!体育委員長は誰?掛け合ってくる!」

「おい!待て!」

「うるさい!えいっ!」

「のわっ!!?」


腕を掴もうと伸ばした手を瞬時にかわされ、素早く投げ付けられた手裏剣に服の袖を壁に縫い付けられてしまった。


「ああ!私とした事が!!!」

「それじゃあ滝ちゃん、委員会で会いましょう!ほほほ」


ひらりひらりと走って行くあきは恐らく六年生の教室にでも向かったのだろう。すぐに見えなくなって滝夜叉丸は深い溜め息を吐いた。ピッと壁から手裏剣を抜き腕を解放する。


「私は心配してやっただけだと言うのに…どうなっても知らんぞ」


七松先輩があきを気に入ってしまったら、あきの意見など通るわけがない。女ではあるがクラスのいち友人として気を遣ったつもりであった。勿論優秀な私には劣るとは思っているが。






「よし!今日から四年の新入りが加わるから皆教えてやってくれ!」

「今日だけです七松委員長」

「ははは!何を言う!」

「体験ですからね。見学ですから。もちろん本気でやりますけど」

「よし!女なのにその覚悟気に入った!終わったら書面を提出しに行こうな!」

「だから今日だけです」


あきはマラソンに遅れる事もなく、息絶え絶えではあったが最後まで走りきった。その事に滝夜叉丸は驚いたが、やはり自分よりは遅かった事に満足した。




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