前回までのあらすじ
いじめっこを泣かせてしまった
どどどどどーーーしよーーーーーー!?!??!!
「さ、さ、三郎君…」
「なんだよ…おまえがわたしをきらうせいだ、ぐす」
いや…確かに嫌いだけど…
言ってない!言ってないからね今日は!!!バカとは言ったけど嫌いとは言ってないよ!!とはさすがに傷を負った彼に言えないので私は固まった。ねぇ、心臓がすごい気持ち悪い動き方してるんだよ三郎君…私こんなド…グゥン!ド…グゥン!て動く心臓初めてだよ。限界なのかな?もう天からお迎えが来るのかなぁ…。
「…何かいえよ」
ぽそりと呟かれて意識を取り戻した。かわいい天使達に連れられて天にのぼっていく私、を想像してる場合じゃなかった。ギギギギ、と降参ポーズのまま固まっていた両手を何とか三郎君の両肩に乗せるとぎこちなくポンポンと叩いた。
「三郎君…」
「…なに」
「わたし、三郎君の事嫌いなんかじゃないよ?三郎君はさ、ほら、誰も逆らえないって言うか…魔王様みたいだなと思うことはあるけど…」
「………」
「あっ、たまに!たまにだけどね!?でもさっいっつも学校終わって遊んでくれるの三郎君だけだし、給食でにんじん出たら食べてくれるし…三郎君のこと、好きだよ!」
……まぁ、遊びという地獄の後半戦が始まるだけなんだけど…。にんじんは食べてくれるけどピーマンとしいたけはこっちに寄越してくるし。だけど泣かせたままなのも可哀想だし、何とか励ましたくて必死に明るい声を出した。
「………だいすき?」
「え?だから、好きだよ!って…」
「だいすき?」
「だ、だーい好き!三郎君!!」
何だよ超めんどくせぇ!!仕方なく言い返せばふん、と鼻で笑われた。
「そんなに私の事が好きなら、許してやろう」
「わ、わぁい…嬉しいなぁ…!」
くそぅ。何でこんな時でも上からなんだよ…!歯をギリィと軋ませて顔に笑顔を貼り付ける。まぁいいか、三郎君の機嫌が戻ったんなら…。
「じゃあ何をしてもらおうか」
「……え?」
「何でもするから許してほしいんだよな?」
い、今さらそこーーーー!??!?
「いやいや、だって好きなら許してやるって言ったじゃん!いま!!」
「言ったが、せっかくの提案に乗ってやらねば男がすたる」
「すたんねぇからね!!ていうかまさか嘘泣きだったの!?」
「ふん、当たり前だろ。女に泣かされてたまるか」
すっと顔を上げた三郎君はニヤリと悪どい笑い方をしていて…ここここここいつううううーーーー!!!!!!びたんっと木の幹に抱き着いて青ざめていると綺麗に微笑んだ顔がどんどん近づいてきて、耳元で囁かれた。
「今日の昼休憩先生に没収された私のゲーム取ってこい。やんなきゃ帰りもランドセル持たせてやろう」
「えー…、あ、は、はい……」
すごい嫌だ…。
でも、三郎君は嘘泣きだって言ったけど目が少しだけ赤くて……罪悪感から頷いてしまったぜ…。
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