「あーん、やめてよう。さぶろーくん、返してよう!」

「そんなに大事なら落とさなきゃいいんだろ、これは拾い物だからわたしのものだ」

「そ、そんなぁ…!うえぇーーーん!!!!」


さぶろーくん、私の大事なキーホルダー、取っちゃった!小学校に入るときにおじいちゃんが買ってくれたのに!!ひどいよお!


「そんなに返してほしかったら返してもいい」

「えっ!ほんとうに!?」

「ああ。だけど、私のおよめさんになるならな」

「えっやだよー!わたし大木せんせーとけっこんするんだもん!!」

「あ?」

「うぴっ!こ、こわいよーーーーー!!!!!!」


「おい、なにしてやがる」


さぶろーくんがこわすぎて大泣きしていると、くるくる指にひっかけてキーホルダーを回していたさぶろーくんの手からそれを誰かがうばった。い、いまの声は…!!


「あっ何する」

「と、とめおにいちゃん!!!」

「てめぇ、あき泣かせてんじゃねえよ」


お隣のとめおにいちゃんがそこに居て、さぶろーくんに取られていたキーホルダーを取り返してくれた!!


「だいじょぶか、あき」

「うん!!とめおにいちゃんありがとう!!だーいすき!!!」

「………ちっ(かわいすぎんだろ)」

「なんで舌打ちしたの!?」

「ほら、いーから帰るぞ。手」

「はーい!」


言われるまま手を出せばぎゅうっと握ってくれた。とめおにいちゃんは見た目はこわいけど、優しいんだあー。わたしは見た目にまどわされずずっととめおにいちゃんを好きでいるんだあー。だってこわがられてショックを受けてるおにいちゃんはカワイソーだから!
ハッとさぶろーくんを忘れていたことを思い出して手を引かれるまま振り返ると、ぎゅっと服を掴んでギロリとこっちを睨んでいるさぶろーくん……こ、こわいよー…。でもさっきのはひどかったけど、とめおにいちゃんが来るまであそんでくれてたんだし…よし!


「さぶろーくーん!!」

「!」

「あそんでくれてありがとー!また明日もあそぼーねーえ!!!!」

「あ、あぁ…」


ブンブン手を振るとさぶろーくんも小さく振ってくれてまんぞくして前をむくと、とめおにいちゃんが「おまえあほだな、いじめだろあれ」と呆れたかおをしていた。…いじめ、なにそれ?おいしーの?




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