「やっやめてよー!!!!」
「やめてと言われたら止められるわけないだろ」
「なっなんでだよー!!?!言葉を理解しろ!!」
「うるさい指図するな」
「うぴっ!」
「あはは、本当に仲が良いなぁ」
「雷蔵君!!いい加減眼科に行け!!!」
「あきさー、本当に口悪いな!お前は絶対にモテない」
「ハチ君に言われたくねぇわ!!!」
久しぶりにママが朝から髪を綺麗に編んでくれてルンルンで学校に行ったらこれだよ!!!知らないクラスの男の子に「その頭かわいーね」って誉めてもらえたって言っただけなのになんでこうなる!?
三郎君がぐいぐいわしゃわしゃみつ編みをほどこうとするから泣いて抵抗していると、クラスの女子達が色めきだった。その理由は入ってきた人物ですぐにわかる。あ、あの人は…!!!!
「兵助!」
「あ、居た。悪いんだけど国語の教科書借りれるか?」
「いいよ。誰のがいい?」
「……いだいっ!!」
兵助君を見ていると三郎君に髪の毛をまた引っ張られた。ギッと思わず睨んでしまってそれが余計気にくわなかったのか空いてる手で頬っぺたをギリギリとつねられた。い、いた、痛いいい…!!!
「ご、ごめんなさい…三郎君…」
「もうしません」
「ご、めんなさい…もうしません三郎君…許して……」
「そうだな、じゃあ…あき貸してくれ」
「へっ?」
あまりの痛さにぼたぼたと涙を零しながら三郎君に謝っていると突然肩を叩かれる。髪を引っ張られて頬っぺたをつねられてぼたぼたと泣いたまま兵助君を見る。
「国語の教科書貸してくれるか?」
「あ、ああ、うん。いいよ…」
「助かる。席どこだ?自分で取るから」
「あ、廊下側の1番前…」
「わかった」
「…あのさ、兵助。お前何かリアクションねぇの?」
「え?」
ハチ君の言葉に兵助君は首を傾げて、それにハチ君が私を指差して答えた。またこっちを向いた兵助君にじーっと見られて…こ、こわい…真顔が恐い…!!現状+目力が恐すぎてぷるぷる震え出した私の髪を三郎君が引っ張った。だから痛い!!!
「?何の事かわからないけど…休憩終わるから戻る。あき、あとで返しに来るから。居なかったら勝手に戻すからな」
「う、うん…」
「じゃあな、皆」
さっさと出ていった兵助君の後ろ姿を女子達が視線で見送った。兵助君はいけめん、だから…女の子に人気だなぁ…。
「…ねぇ、三郎君もういい加減離してよ…授業始まっちゃうよー!」
「…ばーか」
「うぴっ!!痛い!!!」
最後に思いっきり引っ張られて手を離された。頭と頬っぺたを撫でる。うう、みつ編みもうダメじゃん…ほどかなきゃ…。じとりと睨むと三郎君と目が合ってしまって慌てて笑顔を浮かべた。さっきと同じあやまちはおかさない!!
「…ねぇ、 あきちゃんってさ、兵助の事恐い?」
「え?う、うん…」
「どこが恐いの?」
どこが…って、だって兵助君いじめを空気のように無視するし。あれ、もしかして私が空気って事か?それに目力が強すぎてじっと見つめられると体がガタガタ震えてくる。恐怖以外なにものでもないよ。そんな様な事をまとまり悪く伝えると三人とも妙な顔をしていた。
「な、なに?」
「…何を顔赤くしてるんだ」
「えっ!?赤い!?何でだろう…兵助君思い出してたら…恐すぎて赤くなったのかなぁ…?」
「「………」」
そのままチャイムが鳴って皆席に着いた。な、なんだあの三人の顔は…。しかし兵助君はいけめんさんだから見つめられるとどうしても照れてしまう。あ、だから顔赤かったのかな?何を考えてるのかよくわかんないし恐いから五人の中だとある意味一番嫌いだけどな。兵助君と結婚は三郎君よりないわー。
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