お昼を食べた後の国語は、死ぬほど眠い…。半数がうつ向いてしまっている教室で私はあくびを噛み殺す。滲んだ涙がポロポロと零れる。あー眠い…。膝をとんとんとひんやりした物で小突かれて視線を向けると、竹谷君が声を殺して笑っていた。あ…見られちゃった…。恥ずかしさで少し目が覚めた。
結局竹谷君には気持ちを伝えずじまいで、私達の関係は…うーん、何なんだろう。友達以上恋人未満と言うやつなのかな。だけど友達以上の事をしてるかと言うと、そんな事もなくて…。竹谷君は妙にスッキリとしているし、今度は私がもやもやとする方になってしまった。
「えー、では、配ったプリントの問題を解いてみてください」
先生のかけ声で起きている生徒が少しだけざわめく。私の班は、私達以外は…皆脱落してるな…。起こした方がいいかなぁと考えていると、竹谷君と目が合う。
竹谷君は私を見ると、少し抑えた声量で話しかけてきた。
「なあ」
「うん?」
「今日の準備で大道具終わり。帰り一緒に帰ろうぜ」
「…!わ、かった…」
終わり。って言うことは…。
最初の約束通りなら、私は竹谷君に、伝える事がある。熱くなる頬を手の甲で冷やしながら頷くと、 竹谷君の指先が私の膝を撫でていった。ピクリ、と体が跳ねる。
「っ…、!!」
「しーっ」
思わず変な声が出そうになって口を両手で覆った。竹谷君が人差し指を口に持っていくからこくこくと頷くと、いつものきらきらまぶしい笑顔じゃなくて、少しいじわるな顔で笑うから…私は再び赤くなった。
まずは帰り道、手を繋ぐことから始めさせて貰おう。話はそれからだ。
end
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