「り、利吉さん…!」
「こっちへおいで」
利吉さんを見て安心したのか、私の身体は言うことをきくようになり慌てて駆け寄った。
私を庇うように利吉さんは一歩前に出ると、立花くんと対峙する。立花くん、眉間に皺を寄せてる…こ、怖い。ますます利吉さんの影に隠れて身を寄せると舌打ちが聞こえた。だから怖い!
「利吉さん、何故彼女を隠すんです?今は私と話していたんですが」
「話?怯えている女の子に一体どんな話をしていたって言うのかな」
「怯える…?」
「ふむ。もしかして、君か。彼女に酷いことを言ったっていうのは」
チラリと私を振り返るので、小さく頷いて肯定した。
「もっとガキ大将みたいな奴に言われたかと思っていたよ。まぁ、でも大体想像はつく。どうせ幼稚な嫉妬だろう。好きな子に自分だけに笑って欲しかったか?」
「…利吉さんに口を挟まれたくありませんね」
「否定しないんだね」
私は昔の事を思い出していた。
綺麗な顔の仙蔵くん。入学して初めての忍たまの友達だった。何でも教えてくれて、大好きだった。仙蔵くんも、好きだよ。可愛いね。っていつも言ってくれた。
二年になって、仙蔵くんがお友達を紹介してくれて、忍たまの友達が増えた。友達と、好きな子と一緒に居られて幸せだった。だけど皆で遊んでいたら突然―――。
「私意外に笑う顔なんて、可愛くない」
「君はとっても可愛いよ。もっと笑っていいんだ」
決断を迫るように二人に向き合われる。
私は一体、どうしたらいいのだろう。
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