利吉さんが去った後、部屋に戻って見てみようかと思ったけど廊下が賑わっている。どうやらあれこれしている間に結構経っていたようで、もう朝ごはんの時間らしい。
しょうがない、このまま行くか…利吉さん、可愛いって言ってくれたし、大丈夫だよね…。
と思っていたのだが。
「(な、何なんだ、この視線の数は…!)」
食堂に入ってから、四方八方から視線が送られてくる。何なんだろう、やっぱり、変なのかな!?もしかして、びっくりするほどブスなのかな!??!!
「ごちそうさまでした…」
ガタ、と椅子を動かして立ち上がるとざわつきが消え一瞬無音になった。こ、怖いよう…!
カウンターに膳を置いて走って出ていこうとしたら丁度入ってきた誰かとぶつかってしまった。
「す、すいません…あ、や、山田先生!」
「……成る程…利吉も腕を上げたな…」
山田先生、私の事わかってくれた!先生戻ってきて!!昔はあんなに小さかった利吉が…って感傷に浸んないで戻ってきて!
「せ、先生、私変ですか?お化粧似合ってませんか!?」
「ん?いやぁ、お前は可愛いよ。なぁ半助」
「え?えぇ、似合ってるよ」
「や、山田先生!土井先生!ありがとうごそいます…!」
よかった。ブスではなかったんだ、本当によかった…!
「…あ、そうだ」
「ん?」
ちぅ
「あ、えっ!?」
ちぅ
「…えへへ、ありがとうのお礼です。失礼します」
先生達は忍者だから、お礼はこれでいいんだよね。あれ、相手からしてもらうんだったかな?まぁいいか。
「さっきのくのたまの先輩、一体誰だったんだろ…すっごい美人〜」
「山田先生と土井先生、ちゅーされてたぞ」
「土井先生、女の人に縁がないから、固まってるよ」
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