2014/03/09
潮江くんやったら食満くんもいっとくよ犬猿だもの。なイチャつくカップル
「あ」
借りてきた洋画がベッドシーンに入ってしまった。さっきからBGM流れてたから入るだろうなぁとは思っていたけどね。洋画って何でこんなに愛し合う描写を入れてくるんだろ…。私が声を上げた事に反応してこっちを向いた食満君と目が合う。なんか気まずい…。へらっと笑ってみればニコッと笑い返された。あーあああ、嫌な笑顔!
「どうした?」
「え、ううん、なんでもない。あ、飲み物取ってくるね。止めなくていいから」
「まぁ待てよ」
冷静に立ち上がろうと膝立ちになった所を腰をぐいっと掴まれて食満君の膝の上に乗せられる。顔を見ればいい笑顔のままで、だんだん恥ずかしくなってくる。
「ちょっと、取りに行くから、離して!」
「いいよ」
「私が喉渇いたの!」
「お前なみなみ入ってんだろ」
ぐ、そうだった。ほら、と膝に抱えられたままコップを口元に持ってきて飲まされる。一口では決まりが悪くて傾けられる度に三口、コップのお茶はほとんど無くなった。
「満足か?」
「う、うん…ほら、映画見ようよ」
「なぁ、さっき何に反応したわけ?」
「…だから、お茶を……」
「違うだろ」
食満君はこうやって、分かってて言わせようとしてくる所がある。私は頑なに口を噤む。貝だ、貝になるんだ私よ。ここで動揺したり顔を赤くしては食満君の思う壺だ。冷静に淡々と冷ややかに話せば食満君は途中で折れる。私は知っている。
顔を上げて食満君を見るとニヤニヤとからかってくる表情は消えていて拍子抜けた。あれ?首を傾げると優しく笑って耳たぶを親指で撫でてくるからピクリと反応してしまった。
「お前耳弱いよな、本当」
「分かっててやるの、反対!」
「反対を反対する」
「やっ…やだやだ!やだって、うひは」
変な笑い声が出て限界を感じて食満君の体に倒れるようにしがみつけばようやく止めてくれた。食満君はこう言うスキンシップが多い。息を整えていると抱き締められて顔を寄せられる。その距離の近さにドキリとすると優しい笑顔の食満君は、優しい声で言う。
「仲良しするか?」
そう言うの聞いてくるのも、好きらしい。それが食満君だ。