雑誌を見ていたらヒカル君が私の後に座った。そしてあっという間に私は後ろからヒカル君に抱きしめられる形になった。



「ど、どうしたの?」

「寒い。」



そう言うヒカル君からパーカーのファスナーを上げる音がする。私が雑誌を閉じて近くの机の上に置くと、ヒカル君の腕が私の腰に絡みついた。



「毛布あるよ?」

「いい。こっちの方が暖かい。」



ヒカル君はそう言って後ろから私の首すじに顔をうずめる。ちょっとくすぐったいけどやっぱりその体温に安心する。



「ひゃっ。」



安心したのも束の間、今度は私の手を取ったヒカル君の手の冷たさに驚いた。



「悪い。」

「ごめん、びっくりしちゃって。手、冷たいね。外寒かったんだ。」

「うぃ。」



触れたヒカル君の指先は冷たい。
ヒカル君は顎を私の肩に置くと、私のお腹の前で私の両手を包んだ。
次第に引いていく冷たさにじんわりと幸せがにじむ。



「雪。」

「何?」



名前を呼ばれて少し振り返ると、ほっぺにキスされた。
驚く私にヒカル君はそのまま顔を近づける。私は手を離すと、その手でヒカル君の口を塞いだ。
ヒカル君の整った眉が下がる。



「ちょ、ちょっと待った。」



じわじわ恥ずかしさがこみあげてきてなんとか回避しようと頭を巡らせるが、ヒカル君は口にある私の手をどかす。そして腰に回ったままだった片腕もほどくと、私の脇に手を入れて私を軽く持ち上げる。気づけばいつの間にか私はヒカル君と向かい合わせにっていた。そしてまた腰に腕を回すと私をぐっと近づけた。
一気に近づいた距離はやっぱり慣れなくて、途端に心臓が早くなる。



「キスすれば暖かくなる。」

「な、ならないと思うよ。」

「なら試してみるか?」



そう言うのとほぼ同時にヒカル君にキスされた。至近距離で見る整った顔も、優しく首の後ろに回る大きな手も毎回ドキドキする。唇がゆっくり離れると、少し顔の赤いヒカル君が。



「どう?」

「・・・・・なりました。」



顔に熱が上っているのが分って、熱い。きっと主に恥ずかしさでだけど。
私が小さくそう言うとヒカル君は満足したのか、また私の首すじに顔をうずめた。



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