「白石君って、魔法使いなの?」

「は?」



久しぶりに会ったクラスメイトはどうやら暑さにやられたらしい。
近所のコンビニでばったり会ったひまわりは俺に会うなりそう言った。



「何やいきなり。」

「だってこの前、スプーン曲げてた。」

「あれは・・・・マジックみたいなもんや。」



俺がこの前部活でやったネタをどうやらひまわりは見ていたらしい。
俺はビニール袋を持ち直すと、頭をかいた。



「そうなの?」

「せやで。」

「忍足君からメールもらってびっくりしちゃって。」

「・・・・・メールはまだしも、それなら魔法使いやのーて超能力者じゃないんか?」

「それに、白石君はスイカもどんな人数分でも綺麗に切れるって忍足君が。」

「・・・・・・・。」

「私なんて小さくなっちゃったり、余っちゃったり、ちゃんと切れた事ないんだよ。」



まったく、謙也はこの子に何を吹き込んでるんや。
真っ直ぐな瞳で見つめてくるひまわりを見ながら、俺はため息をついた。



「あれは経験と努力や。」

「え、経験と努力?」

「せやで、俺がどんだけ夏にスイカ切ってきてるか・・・・・。」



今年の夏だけで5回。もうすでにスイカを切っている。部活やろ、家やろ・・・・・。
今日もこれから帰ってスイカ切らなあかんし・・・・・。



「・・・・なんなら自分、これから家来るか?」

「え!?」

「丁度これからスイカまた切ろうと思ってるし。」

「い、いいの?」

「妹はおるけど、姉貴はおらんから丁度ええわ。それに俺の魔法使いテク、教えたるで。」



ひまわりは俺を見て驚いたように目を丸くしたが、すぐに嬉しそうに笑った。
相変わらず可愛ええ笑顔。久々に見れて癒される。



「よろしくお願いします!」

「よっしゃ、そうと決まればさっさと行こか。」

「うん。」



俺はそう言って歩き出すと、魔法使いの弟子を引き連れて家路を急いだ。


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