「おはよう。」
「・・・・おはよう。机の上に朝食置いてあるよ。」
「分かった。」
洗面台で髪の毛を結んでいると後ろから弟が自分の部屋からやってきた。寝起きだ。
頭をかきながら大きなあくびをすると、支度をしている私を見つめた。
「・・・・・・・ダビデ先輩と付き合ってるってマジだったんだな。」
そしてそう呟いた。
振り返ると眠そうにまたあくびを一つ。
「し、知ってたの?」
「東堂先輩からちょろっと。」
「・・・・・・・・。」
弟はサッカー部。その先輩である同じクラスの東堂君を尊敬しているらしい。そして弟は天根君の事を勿論知っている。(まぁ、学校新聞に載るぐらいだし)
まさかその東堂君からそんな話がされていたとは・・・・・・。
私は元に戻ると、髪ゴムでゆるく髪を縛った。そして近くにあったコップに水を入れる。
「部活は?」
「今日は休み。」
「そうなんだ。」
「何、デート?」
弟のその一言で水を口に含んでいた私は思いっきりむせた。
荒く息をしてまた振り返るとタオルを首にかけた弟はにやにやと私を見つめた。
「あ、分かった。この前のデート寝坊したから今日は早く行くんだろ?」
「ね、寝坊って・・・・・。」
「じゃぁ遅刻しないで間に合ったのか?」
「それは・・・・・。」
「なら遅刻じゃん。」
「・・・・・・・。」
・・・・・本当の事だけに言い返せない。最近弟に口で負ける事が多くなった気がする。私の方が上なのに。まぁ一年しが違わないけど。
実際今日はいつもよりも30分前に目覚まし時計をセットした。そのためにちゃんと前日から計画もした。準備もこれで終わったし、今日はこの間みたいに遅れないようにしないと・・・・・。
「姉ちゃん。」
「何?」
「時間、いいの?」
我に返って時計を見れば、家を出ようと計画した時間を過ぎていた。
「わっ、もうこんな時間!行かないと!!」
「はい、バック。」
「ありがとう。」
「まぁ、頑張れ。」
「い、行ってきます!!」
私は弟からバックを受け取ると急いで玄関に向かって靴を履いた。
弟からの小声の声援を背中に受けながら私は家を後にした。
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