「ショップ寄ってもいい?」
一通り館内を見終わると雪がそう言ってお土産などが売っているショップを指差した。
俺が黙って頷くと、雪は足早にぬいぐるみが沢山置いてある一角に向かった。
売店にはお菓子やらぬいぐるみやらが所狭しと並んでいた。
雪は暫く考えてからカピバラの小さいぬいぐるみを手にとってレジに向かった。俺はいろいろ眺めながら雪の帰りを待つ。
しかし、暫くたっても買いに行った雪が戻ってこない。当たりを見回すと、レジの近くで雪はじっとあるものを見つめていた。
「会計は済んだのか?」
「わぁ!」
肩が跳ねるのと同時に雪が声を上げた。そしてくるりと振り返ると驚いた様子だった。
「び、びっくりしたぁ・・・・。」
「すまん。」
「ううん、お待たせしました。」
そう言って袋を掲げて雪は笑った。
俺はそんな雪を見てからさっきまでこいつが見ていたものを見た。
ガラスでできたイルカの置物だった。水色とピンクのイルカが二匹並んでハートを作っている。
「ガラスのイルカか。」
「可愛いよね。」
「・・・・・・。」
「・・・・ん?」
俺はまた雪を見つめると、良いことを思いついた。我ながらナイスアイディア。
そしてそれが入った箱に手を伸ばした。
不思議そうに見つめる雪を横目に見ながらレジの方に向かう。
「お土産?」
「まぁ・・・・そんな感じ。」
「あっ、お姉さんに?」
「・・・・。」
姉貴にはではないが・・・・・そもそも今ここにいるのは姉貴のおかげでもある訳だし、何故か俺が今日雪と会うの知ってたみたいだし、帰ったらいろいろと聞かれるかもしれない。いや、確実に聞かれる・・・・・。俺は少しでもはぐらかすために近くにあったクッキーの箱も手に取った。
「悪い、ちょっと待ってて。」
「うん、行ってらっしゃい。」
ニコニコとしながら手を振った雪に見送られながら俺はレジに向かった。
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