(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯)


イライラを足音に変えてやってきた来慣れた家の玄関のインターホンを押す。その間本日10回目にはなろう発信者に電話をかける。



「あら、いらっしゃい。」



その間にドアが開き、中から綺麗な笑みを浮かべた女性が現れた。



「こんにちは、サエいますか?」

「いるわよ、というかまだ起きてきてない。」



にこりと笑ったのこの人はサエのお姉さん。笑顔はやっぱり似てるなと思いながら、一向に繋がらない通話を切った。
サエと私は幼なじみである、という事はサエのお姉さんとも勿論仲がよかったりする。この前も一緒に買い物に出かけた。(サエは荷物持ちで参加。)



「虎次郎を起こしにきてくれたの?」

「まぁ、一応。」

「なら部屋まで上がっていいわよ。」

「えっ。」

「用事あるんでしょ?」

「そう、ですけど・・・。」



サエの家まで来たのはちゃんと理由があってだ。
昨日剣太郎がサエに練習に付き合ってくれるように頼んだらしいのだが、その待ち合わせの時間を15分過ぎても現れなかったらしい。その報告をなぜか私がもらい(理由はサエが行きそうな場所が私の所しか思いつかなかったらしいけど)、サエのケータイに電話を何度もかけたが通じずこのままじゃ埒があかないので家までやってきたのだった。



「それに虎次郎も喜ぶと思うし。」



そう言って楽しそうに私の背中を押したお姉さん。やっぱり兄弟だ、似ている。
私はお姉さんに促されるまま上がると、そのまま二階にあるサエの部屋に向かった。
サエの部屋は正直何度も行っている。しかし一応もう中学三年生なんだけど、自分で言うのもなんだけどそういうお年頃なんですよお姉さん。
そんな事を考えながらサエの部屋のドアをノックする。



「サエー。」



やっぱりだが、返事はない。これか樹っちゃんが言っていたのは。



「勝手に入っちゃっていいわよー。」



下からそうお姉さんの声が。私は息を吐くと意を決してドアノブを回す。


「サエー。」



見慣れた部屋を見回せば、ベッドの上に横たわるサエの姿が。ベッドの横にやってくると、すやすや気持ちよさそうに寝ているサエ。この無防備な寝顔を写真に撮ってファンの子達に売ってやろうか・・・・。そんな事を考えて我に返った。そうだ、起こさなきゃ。



「サエ、起きなさーい!!」

「んー。」

「剣太郎が待ってるよ!」

「剣たろ・・・・あれ?」



ゆっくり目を開けたサエが私の姿をとらえた。そしてガバっと起きると、やや目を丸くして私を見つめている。



「えっ、何で君が、ここに?」

「何で、って・・・・剣太郎から連絡もらって起こしにきたの。」

「剣太郎・・・・・あっ、しまった。」



サエはそこでようやく自分が遅刻した事に気づいたらしい。枕元にあったケータイを見つめると頭を抱えた。
サエは時々遅刻をする。しかも自分で誘った時はないが人から誘われた時などにそうなる。この前樹っちゃんがそんなサエにモーニングコールを頼んだらしいが無駄だという事に気づき、結局サエは遅刻したという話を聞いた。



「とにかく、今からでも行ってあげなよ。」

「わかってます。それにしても君に起こされるのって気分いいなぁ。」

「はいはい、いいから支度する!」



サエはベッドからようやく降りた。こんな寝癖だらけのサエが見れるのはレアだ。本当にこんな無防備なサエをファンの子に見せてあげたいよ、全く。



「起こしにきてくれたって事は、君も来るんだろ?応援に。」

「うんまぁ、行きますよ。剣太郎の応援に。」

「俺じゃないの?」

「剣太郎の練習なんだから当たり前でしょ?」

「えー。」

「えーじゃない。」

「残念だなぁ。それはそうと・・・見たい?」

「は?」

「俺の着替えシーン。」


にっこりとそう言ったサエは着ていたTシャツの裾に手をかけ、それを脱いだ。
私は急いで後ろを向くと、サエの部屋を出る。ドアを背中にすると、「すぐ支度するから待ってて」というサエの声。私はとりあえずドアの前で待つことにした。私が息を吐くと、階段下にいたお姉さんがサエと似たように笑っていた。


12.9.21


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