(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯)ダビデに彼女ができたらしい。らしいと言うのは私がまだその彼女を見てないからだ。しかし部活でのダビデはいつもと変わらず、豪快なテニスしたりダジャレを言ったり・・・・・。
「ねぇ、サエ。」
「何だい?」
剣太郎の変わりマネージャーである私が部誌を付けている。何でだ。そう思いながら部室に残っているサエに投げかける。
「ダビデの彼女ちゃん、見たことある?」
「あるよ。」
「どんな子?」
「可愛い子だよ。気になるの?」
「まぁね・・・・。」
気にならないと言ったら嘘になる。だってダビデは、というかサエも含めて小さい頃からの幼なじみ。ダビデは私の事姉のように慕ってるし、私だってダビデの事弟のように思っているのだから。
「そっか、可愛いのか。」
「可愛いよ、ちょっと鈍いけど。」
サエはそう言うと楽しそうに笑った。
そこでようやく部誌を書き終えペンを置けば、サエが私の前に座る。
「嬉しそうだね。」
「そりゃね。私も見てみたいな、その子。同級生なんでしょ?」
「そう、隣のクラスなんだって。」
「ふーん。でも大変ね、ダビデのダジャレを毎日聞かされるなんて・・・・。」
「それが満更でもないらしいんだ。」
「うそ?!」
「あぁ、ダビデのダジャレに笑ってたよ。」
「・・・・・・本当によかったね、ダビデ。」
心の底からそう思った。多分あのダジャレに笑ってくれる子なんてそうそういないぞ。うん。
そんな私を見てサエがイタズラっぽく微笑む。
「君もね。」
その顔に思わず絶句する。
「・・・・誰のせいだ、誰の?」
「俺?」
「今この場にあんたしかいないでしょ!」
そうだ、全てはこいつのせい。私が好きになった人とはサエのせいでことごとくダメになっていると言っていい。ある時は「あいつ女癖悪よ」と言ったり、またある時は偶然を装ってデートを邪魔された時もあった。
そのせいか最近は友達に「佐伯君と付き合ってるんでしょ?」とまで言われる始末・・・・。
「他の奴の恋は応援するくせに、何で私の恋は邪魔するのさ?」
「それは俺が君を好きだから。」
あぁ、そう。いつもこれだ。楽しそうに言うとサエは明らかに私をからかっているとしか思えない。私は部誌をパタンと閉じると、立ち上がる。
「あー、はいはい。」
「本気なんだけどなぁ。」
「分かったから、もう帰るよ。」
そう言いながらもほぼ毎日一緒に帰る私も私だと思った。
11.12.21
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