(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯「どうしたの?」
「・・・・。」
「どうして泣いてるの?」
「・・・ぐすっ。」
「あっ、もしかして迷子?」
「・・・・違う。」
「じゃあどうして泣いているの?」
「・・・・あれ。」
「あれって・・・・星?」
「・・・うん。みんな、お星は取れないって。」
「うん。」
「取れるって言ったら笑われたの。」
「そっか。」
「でもおばあちゃんが、時々お星は落ちてくるって言ってたから。」
「うん、そうだね。」
「え?」
「俺も取ったことあるよ、星。」
「本当?」
「うん。」
「どんな感じ?」
「うーん、美味しかったよ。」
「食べれるの?」
「その時のはね。」
「食べられないお星もあるの?」
「そうみたいだね。」
「・・・・私も取れるかなぁ、お星。」
「今日ならきっと取れるよ。」
「今日なら?」
「今日は“りゅうせいぐんだ”から。」
「りゅうせいぐん?」
「星が沢山落ちてくる日なんだって。あっ、ほら!」
「わぁ・・・。」
「ほら、さっそく取れたよ。」
「本当に?」
「うん、ほら。」
「わぁ・・・本当にお星様だ!」
「残念だけどこれは食べられないやつだね。」
「分かるんだ、すごいね。」
「君にあげるよ。」
「いいの?」
「うん。」
「ありがとう。」
「こんな所で寝たら風邪ひくぞ。」
肩が揺すられて目を開くと、苦笑いを浮かべたサエがいた。目をこすればそこは砂浜で、薄暗い中で寝ていたらしい。
「・・・・・夢。」
「ん?」
「何でもない。」
サエの肩越しに他のみんなが花火を始めているのが見えた。そうだ、今日はみんなで花火をやりに来たんだった。暗くなるまで時間があったから砂のお城を作るのを眺めていて・・・・いつの間にか寝てしまったらしい。
「呼んでもなかなか来なかったから、ちょっと心配した。」
「ありがとう。」
「今日は素直だね。」
「な、私はいつでも素直でしょ?」
「ははっ、そうだね。」
声を出して笑いながらそう言ったサエを睨むと、私は立ちあがった。砂を払うと夜空になりかけの空を見上げる。
「あ、流れ星。」
サエがそう言うと、すぅとお星が流れた。あれはきっと食べられないお星だ。
ずいぶんと懐かしい夢を見たものだ。
「そう言えば今日流星群がピークだって姉さんが言ってたな。」
「・・・・ねぇ。」
「おーい、2人ともー!!」
口を開と同時に花火を持った剣太郎が手を降っていた。
私は何を言おうとしたんだろう?
そんな私を見てサエはいつものように微笑んだ。
「星が取れそうだ。」
「え?」
そしてサエは剣太郎に手を振りかえすと、「行こうか」と呟いた。
そう言ったサエの横顔は夢の中と一緒だった。
12.7.25
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