「樹っちゃん。」

「どうしたの、蝶子。いつにもまして覇気がないのね。」

「うん、それについてはまたおいおい話そう。」

「で、何かあったのね？」

「うん、もう、サエが分からない・・・・・。」

「うん、あいつが分からないのはいつもの事なのね。」

「えー、相談する前から結論出ちゃった。」

「まぁ、とりあえず話だけは聞くのね。」

「・・・・・この前、私告白されたんだよ。」

「サエに？」

「違う、一つ下の男の子に・・・。」

「へー。」

「うん、樹っちゃん。とりあえず洗いものの手を止めようか。」

「時間がおしいのね。」

「樹っちゃん、ひどい・・・・。」

「で、それから？」

「・・・・・でね、返事は後でいいですって言ってその時はその男の子帰っちゃったの。」

「うん。」

「で、昨日私がその子に返事をしに行ったのね。そうしたら、その男の子が真っ青になって私の顔を見て『すみません、俺、先輩のこと綺麗さっぱり忘れます！』って言ってそのまま走って行っちゃったの。」

「うんうん。」「それで、よくよく話を聞いたら。サエが私が返事をする前にその男の子の所に行って私の事は諦めろって言ったらしいの。」

「ふーん。」

「しかもだよ、その時たまたま見てた友達がね、『蝶子から頼まれた』ってのを聞いたって言ってたの。私一言もそんな事言ってないのに、というかサエに告白された事すら言ってないんだよ！？」

「へー。」

「もうどう思う樹っちゃん！？ひどくない？」

「あ、うん。やっと終わったのね。」

「樹っちゃんまじめに聞いてよぉ〜！！」

「聞いてますよ。」

「そう言いながら帰る支度までしてるじゃん！」

「帰ってお店を手伝うんです。」

「・・・・・しかもサエ怒ってたんだよ。怒りたいのはこっちなのにさ。」

「・・・・・・・。」

「もう、サエの事よく分からない。好きだけじゃ、やっぱりダメかな・・・。」

「・・・・・はぁ〜。」

「樹っちゃん、幼馴染が真剣に悩んでるんだから真面目に相談にのってよ！！」

「・・・あいつが分からないのは本当にいつもの事なのね。でも・・・。」

「でも？」

「・・・・今の言葉はきっと嬉しかったんじゃないかと思うのね。ね、サエ？」

「・・・・・本当に樹っちゃんには敵わないなぁ。」

「さ、サエ！？いつからそこに！？」

「さっきからいたのね。」

「えぇ！？」

「・・・・蝶子、さっきの言葉、本当？」

「え、あの、えっと・・・・・。」

「ごめん蝶子それから、俺も好きだよ。」

「なっ・・・・・。」

「今はその言葉だけで、本当に嬉しいんだ。」

「サエ・・・・・。」

「さてと、邪魔者は消えるのね。ちゃんと戸締りしてくださいよ。」

「え、樹っちゃん！？」

「ありがとう、樹っちゃん。」

「どういたしまして。」（本当に分かりやすい二人なのね）




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樹っちゃんはきっとこんな子じゃない（笑）