(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯)


珍しくらしく部活のない日曜日。久しぶりに一人でぷらぷらと街を歩いていると、ショーウインドウの向こうに見慣れた後ろ姿を発見した。しかも2人も。店はいかにも可愛らしい雑貨屋で、見慣れた後ろ姿の2人は完全に浮いてみえた。
私はそっと雑貨屋に入ると、そんな2人の後ろに回り込む。



「サエ、ダビデ。」



いつものように2人の名前を呼べば、ダビデだけ肩が大きくはねた。
そしてほぼ同時に振り返ったサエとダビデは、驚いたように目を丸くさせている。



「やぁ、奇遇だね。買い物?」

「まぁ、そんな所。」

「何で、ここに?」

「2人の姿が外から見えたの。」



ダビデは少し眉間にしわをよせた。何だ、その顔は?
それとはうって変わってサエはいつものように私に微笑む。



「で、何でここに?」

「そっ、それは・・・・・。」

「ホワイトデーのお返しを探しにだよ。」


サエがダビデの代わりにそう言うとダビデは黙って頷いた。



「ダビデがお返しで悩んでたから、一緒に付いてきたんだ。」

「一人じゃ、入りにくい・・・・・・。」

「まぁ、男一人じゃねー。」

「そう?俺は平気だけどな。」



サラっとそう言ったサエは無視した。
だってこんな可愛らしい感じの雑貨屋とかに入るにはダビデみたいに思うのが一般的だと思う。サエは特殊だ。
私は2人の間から棚に置かれた物を見つめた。そこはどうやらヘアーアクセサリーが置かれいた。ヘアピンやらゴムやら種類が沢山ある。
そんな私に気づいたのか、ダビデが腕を組んだ。


「で、ヘアアクセにするの?」

「・・・・・。」

「まだ迷ってるみたいなんだ。」

「彼女ちゃんの好きな色の入ってるやつ、とかにすれば?」

「彼女、何色が好きなんだい?」

「濃い緑色が好きだって言ってた。」

「彼女ちゃん、渋いなぁ。」

「あっ、じゃあこれはどう?」



サエがそう言って指差したのは緑色が入っている花の付いた髪ゴムだった。



「あっ、これ可愛いじゃん。」

「濃い緑色も入ってるし、いいんじゃない?それにダビデ、髪ゴムのお礼もこれだったらいいんじゃないのか?」

「・・・・サエさん冴えてる!」

「うん、お会計に行っておいで。」

「・・・・・・・うぃ。」



サエはダビデのそれをサラリと交わすと、そのシュシュをダビデの手の上にのせた。
ダビデはショボンとしながら頷いてそのままレジに向う。



「・・・・サエは本当に相変わらずだね。」

「何?」

「何でもない。」



私はそう言うとダビデが選んだ髪ゴムの色違いを手に取った。
サエはそんな私を見つめて笑うと、反対側の棚を眺め始めた。



「で、サエはいいの?」

「何が?」

「チョコのお返し。」

「うん、俺はもう用意してあるからね。」

「ふーん。」



流石と言えば流石サエだ。しかしあれだけチョコ貰ったんだから、お返しも大変なんだろうなー。まぁ、サエに限った事じゃないけども。



「でもやっぱり何か買おうかなぁ。」

「サエもプレゼントするの?」

「あぁ。何がいいかな?何が欲しい?」

「えっ、私に聞くの?」

「だって君にあげるんだから、君の欲しい物がいいだろ?」



やっぱりサラっとそう言ったサエは笑顔だった。
そしてサエは「これは?」と言ってマグカップを手に取る。
私はため息を付くとそんなサエからマグカップを奪い取った。



「いらない。」

「じゃあ何が欲しい?あっ、俺っていうのもありだよ。」

「却下。」



私はそう言うとサエの足を踏んだ。サエは「いたた」と言ったが全然平気そうだった。
ダビデが戻ってくる前に平常心にならなくてはと思った。



12.3.12


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -