(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯)




バレンタイン直前の日曜日。一人でぶらぶら買い物に出かけたらばったりダビデの彼女ちゃんに遭遇。



「こっ、こんにちは。」

「こんにちは・・・。」



彼女ちゃんも驚いたようにそう言って私に頭を下げる。
しかもその場所はバレンタインの特設場。所狭しとチョコが並んでいる。



「バレンタインの買い物?」

「えっ、あっ、はい。」



少し顔を赤くしてそう言った彼女ちゃん。よかったねダビデ、可愛い彼女ちゃんからチョコ貰えて。



「先輩もお買い物ですか?」

「えっ?」

「バレンタインの?」

「あー・・・・。」



私は頭をかくと視線を泳がす。ダビデの彼女ちゃんの言うことは間違ってはいない。しかし今年は樹っちゃんが逆チョコ作ると鼻息あらく言っていた。となると私が作っても確実に比較されるし・・・・。
私はため息をつくと足元にあったかごを取った。



「まぁ私も、そんな所・・・・・。」

「そうなんですね。」




彼女ちゃんはそう言うと笑った。笑顔が可愛い。



「あっ、あの・・・・。」

「ん、何?」

「先輩にお聞きたい事があって。」

「聞きたい事?」

「先輩はその、天根君と仲がいいんですよね?」



彼女ちゃんのその言葉ドキっとした。
別にドキっとする必要はまったくないのだけどね。ダビデは幼なじみで弟みたいな感じだし。しかし、この前のサエの嫉妬作戦を思い出した。だってあの時サエの言葉が正しいなら彼女は、私にヤキモキやいたと言うことになる。




「まっ、まぁ、幼なじみみたいなものだからね。」



曖昧に言葉を返すと彼女ちゃんは少し視線を下げた。



「それで、あの・・・。」



今度は彼女ちゃんが言葉を濁した。また私を見るその顔は少し赤い。



「あっ、天根君ってどんなチョコ好きとか、ありますか?」



語尾につれて小さく呟くように彼女ちゃんがそう言った。
・・・・聞きたい事ってこれだったのか。もっと違う事を言われるのかと思った。
彼女ちゃんはぽかんとしている私を見てますます顔を赤くさせた。



「あ、あの・・・。」

「あぁ、ごめんね。」



私はそう言うとケースの中に並べられたらチョコを眺める。



「特にこれってのはないと思うよ。基本的に甘いの好きだしね、あいつ。」

「そうなんですか。」

「まぁ、買っても作っても、彼女から貰えれば喜ぶと思うよ。」



私がそう言うと彼女ちゃんは嬉しそうに笑って、頷いた。
私もこれぐらい小さくて可愛かったらなぁ、と思ってしまった。そうすればサエに・・・・・・。


「えっ、何で!?」

「え?」

「あっ、な何でもないんだ、ごめんね、うん。」



いきなり浮かんだサエの顔をぶんぶんと振り払う。何を思ったんだ、私は!?
そんな事を思いながら近くにあったチョコを一つかごに入れる。



「あっ、それ佐伯先輩にですか?」

「え?」

「その、チョコ。」

「あー、サエとは限らないかなぁ。他の人に渡るかもしれないし。」


私はそう言いながら内心ドキドキしていた。
さっきのさっきだったし、そして彼女ちゃんの口からまさかサエの名前が出てくるとは。



「そう、なんですか。」

「でも、何でサエ?」

「天根君が先輩と佐伯先輩は仲いいって言ってたので、もしかして付き合ってるのかなと・・・・。」

「ないない、それはない!」

「すみません、そう、なんですね・・・。」



彼女ちゃんはそう言うと頭を下げる。
私は小さく息を吐くと彼女ちゃんにあらぬ事を吹き込んだダビデを呪った。



12.2.7



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