拝啓 未来の君へ

これを読んでいる君はどんな大人になっていますか?
きっと君の事だから素敵な女性になっているに違いないと思います。

その隣に俺はいますか?
もし居なかったとしたら、この手紙を読んでいる時だけ俺を思い出して下さい。
初対面で平手打ちを喰らった事とか、数学の時間違った答え教えて怒られた事とか。しかしあれは君の怒った顔がみたくてわざとしたっていうのをここで謝らせて下さい。ごめん。
意地っ張りで、寂しがり屋で、嫉妬ぶかくて、面倒くさくて、君の事が大好きな俺を今だけでも思い出して下さい。
まぁ俺が君の隣にいれるなら、一番嬉しい事だけど。

最後に、結婚おめでとう。
結婚する君に15歳の俺から心からの祝福を。 敬具





「ねぇ、サエ。これ何?」

「あぁ、届いたんだね。よかった。」

「そうじゃなくて。」

「文字通り、15歳の俺からの手紙だよ。」

「ふーん。15歳の虎次郎君は、私が将来別の人と結婚するんじゃないかと考えてたと。」

「うん、まぁ、そうだね。」

「・・・・・・サエ、私も意地っ張りで、寂しがり屋で、嫉妬ぶかくて、面倒くさいよ?」

「うん、知ってる。」

「・・・サエよりも、だよ?」

「うん、それも知ってる。」

「サエが嫌になっちゃうぐらい、かもよ?」

「あはは、じゃあ俺といい勝負だね。俺達似た者同士だ。」

「・・・・・・隣にいるのがサエでよかった。」

「俺も、隣にいるのが君でよかった。」

「・・・・・・うん。」

「さぁ、もう休もう。結婚式は明日なんだから主役の君がそんな顔じゃ一生笑いぐさになっちゃうよ。」

「はーい。」

「おやすみ、可愛い奥さん。」

「気が早いなぁ。」

「そう?」

「まぁいいか。おやすみ、素敵な旦那様。」



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