「雨ですね。」

「雨だな。」

「折角七夕なのにね。」

「七夕は梅雨の時期だからな。晴天にめぐり会える方が珍しい。そもそも本来の七夕は今で言う8月の6〜7日の前後と言われており、お盆行事の一部として、」

「柳はリアリストだね。」

「俺は真実を言ったまでだ。」

「そうなんだけどさ、やっぱり織姫と彦星には一年に一度逢わせてあげたいじゃん!」

「蝶子はロマンチストだな。」

「柳よりは夢を持ってますから。だから今も短冊にお願いごともちゃんと書いて来た!二人が会えますように!って願いもこめて!」

「短冊の願い事は織姫彦星には全く関係ない。元々は字が上手くなるように、と習字の上達を願って書いたのが始まりとされている。」

「・・・・・・本当に柳は夢がない!」

「俺は願い事は自分で、もしくは他人に叶えてもらいたい派だ。」

「・・・・自分はともかく、他人に?」

「そうだな、ちょっと待っていろ。」

「?」

「・・・・・はい。」

「え、短冊?」

「今、お前に叶えてもらいたい願い事だ。」

『一つの傘で一緒に帰れますように』

「・・・・・・・・・。」

「無言は悲しいな。」

「いや、まぁ、これなら叶えてもいいかな。うん。」

「ついでにお前が食べたいと言っていたケーキにも付き合ってやろう。」

「本当に!?」

「あぁ、今日はサマーバレンタインだからな。」

「??」


2014/07/07

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