引っ越してきてまず最初に学んだ事。それはこの学校のとある2人には関わらない方がいいと言う事。
その2人はいわゆるヤンキー、という部類らしく他校と喧嘩をした、やら、見るだけで人を殺せそうなガンを飛ばす、やらいろいろな噂があった。



「どうしたと?」



そのうちの一人、千歳千里に遭遇したあげくに話しかけられたら私はどうしたら・・・・。
体育館の脇にある自販機には私の好きなジュースがある。教室からちょっと遠いが、いつも売り切れている事はなく行けばあるのでそこに足を運んでいる。
今日もそこに向かい、いつものように自販機にお金を投入。しかし、選んだジュースが出てこない。しかも入れたお金も戻ってこない。どうしようかとおろおろしているた所、彼に遭遇。
茶色いもじゃもじゃの髪に、ピアス。そして中学生とは思えないほどでかい。肩に何故か猫をのせている。見上げる私に千歳千里は首をかしげながら近づいてきた。
ひぃー、でかい、怖い。



「え、あっ、あの・・・・・。」

「あ、その自販機また壊れたと?」

「え、あ、はい・・・・。」

「時々壊れっと。だけん、こうすっと・・・。」



千歳千里はそう言いながら私に猫を差し出すと、長い足で自販機を蹴った。
ひぃー、ヤンキー怖い!!
しかし自販機はうんともすんとも言わない。それに千歳千里は大きく舌打ちをする。



「いつもはこれで直るんだが・・・・。」

「あ、あの、もう大丈夫・・・・。」

「千歳、ここにおったとや。」



私の後ろから聞こえたその声にゆっくり振り返ると、そこにはあのもう一人・橘桔平の姿が。



「おぉ、桔平。」

「こげん所で何しとっとや?」

「またこん自販機ば壊れて、お嬢さんが困ってそうやけん助けとったと。なぁ?」

「い、いや、あの!?」



長い金髪の下からの視線が私に刺さっているのが分かり、変な汗が出てくる。私は思わず一歩下がって猫を強く抱きしめた。猫は困ったのか「にゃー」と一回鳴く。



「で、千歳はどうしたと?」

「いつものように蹴った。ばってん、いっちょん動かん。」

「蹴りが甘かたい。」



橘桔平はそう言うと私を追い越して自販機の横に回った。そしてやっぱり自販機を蹴った。ひー!やっぱり怖いこの2人!!同じ学年だと聞いていたけど絶対嘘だ!なんと言うかいい意味で大人っぽい。
しかし今度は自販機がゴーと言う聞いたことないような音を立てた。「お」と千歳千里が言うと、ガタガタと取り出し口からジュースが出てきた。しかも3本。橘桔平はそれを取り出し口から取り出すと、私に一本差し出した。



「ほら。」

「あ、ありがとう、ございます。」

「礼ならこれでよか。」

「今度壊れたら横蹴るといいばい。」



いや、絶対やらない・・・・。
ジュースを受け取ると、橘桔平は猫を取り上げ千歳千里に渡した。それからジュースも。ぽかんとする私に千歳千里が私の頭を撫でながら猫をまた肩にのせる。



「じゃあな。行くぞ、千歳。」

「おぅ。またな、お嬢さん。」



2人はそう言うと私に手を降って去っていった。残ったジュースを見ながら、もしかしたらあの2人は思ってたよりもいい人なんじゃないかと考えた。そう思っていたら昼休みの終わりのチャイムが鳴った。



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