(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯)

ダビデの後ろ姿を見つけたから声をかけようとしたら、なんとお取り込み中だった。相手は勿論彼女ちゃん。
私がいる所から少し離れているから二人は全くこっちに気づいていないみたいだった。



「よかった、仲直りしたみたいだな。」

「わっ!」



そう言って私の後ろから現れたのはサエ。見れば手にバケツ。中にいつもサエが使っているスコップが入っている。



「え、喧嘩してたの?」
「違う違う。」



サエはそう言って私の手を取って歩きだした。確かにこのままここにいるのは野暮ってものだ。
サエと私はそのまま海にやってくると、制服の腕をまくった。



「喧嘩じゃなくて、ダビデが一方的に彼女を避けてたんだ。」

「何で?」

「うーん、簡単に言うといい夢を見たらしいよ。」



ズボンの裾もまくるサエ。砂遊びする気満々だ。私は頭にハテナマークが浮かぶ。何でいい夢見て避ける?



「いい夢ってどんな?」

「はは、それを聞くのは野暮ってもんだよ。」



サエはそう言って笑うとバケツに海水を酌みにいってしまった。ますます分からない。
私はその場にしゃがむと砂の山を作る。



「他のみんなは?」

「潮干狩りしてるよ、ほら。」

「・・・サエも見るの?」

「何を?」

「ダビデが見たようないい夢。」



分からないなりに戻ってきたサエにそう聞くと、サエは驚いたように目を丸くさせた。
そんな驚くようないい夢なの?



「まぁ、たまに見るかな。」

「どんな?」

「それは秘密。」

「えー。」

「まぁ、ダビデも俺も男だって事。」



サエはそう言うといつものように笑った。結局の所どんないい夢なのかさっぱりだ。
サエはバケツから海水をすくうと私が作った砂の山にかけた。



「・・・・私も見れそうな夢?」

「見れるんじゃないかな?」

「・・・・全然分かんない。」

「さーて、何作ろうかなぁー。」



サエはそう言うとぺちぺちと砂の山をスコップで叩く。
何でこの男は潮干狩りしないで一人で砂遊びしてるんだ。まぁ、それに付き合おうとしている私も私だけど。
楽しそうに手を動かし始めたサエに、私も海水をかける。



「あれがいい、スカイツリー。」

「いいよ。じゃあみんなを驚かそう。」



そう意気込んで砂を盛り始めたサエに私もぺちぺちと手で砂を押し付けた。
後日いい夢の内容を聞いてサエにおもいっきり海水をかけたのは言うまでもない。


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