(曖昧ラプソディと繋がっていないようで繋がっているような佐伯) 部室でまた私が部誌を書いている横でダビデが机に突っ伏して寝ている。
最近ダビデが変だ、とバネやいっちゃんは言っていたけど正直私には分からない。いつも何を考えているのか分からないっていうのもあるが、私が部室に来た時からこれなのだ。
しかしそろそろ最終下校時刻だ。ダビデを起こしてここを閉めなければならない。私は部誌を閉じるとダビデの肩をゆする。
「ダビデ、そろそろ帰るよ。」
「・・・・・・ん。」
ダビデが顔だけゆっくりと上げると、ちらっと視線だけをこっちに向けた。
かと思うとすぐにまた机に突っ伏してしまった。何時もならダジャレ言いながらももそもそと帰る支度を始めるのに。確かにいつもと違うかもしれない。
「ダビデ、何かあったの?」
「・・・・何で。」
「いや、いつもみたいにダジャレ言わないからさ。」
「・・・・・・・。」
ダビデは無言で起き上がると今度は体ごと私の方に向いた。相変わらずあれだけ寝てたのに髪型はそのままだ。
「ねぇ、聞いていい?」
「相談事?」
「うぃ。」
「何?」
「・・・・中学生らしい節度って、どのくらい?」
「・・・・はぁ?」
思わずもれた声にダビデの眉間に皺がよる。
「えっと・・・・どういう事?」
「バネさんとかいっちゃんに中学生らしい節度を守れって言われた。」
「あー・・・・・。」
そう言うことか。クリスマスの事は亮から聞いたが・・・・・。私は頭を抱える。
「えっと・・・・。」
「どこまでならいいの?」
「・・・・。」
真剣な顔して聞いてくるダビデに、言葉がつまる。そうか、惚気か。お前はこんな事で悩んでたのか。心配してたのがなんかバカらしくなってきた。
「・・・・・あー、ABCのAぐらいじゃない?」
「Aって何?」
「だっ、抱きしめる、とか・・・・・。」
「なるほど。」
ダビデはそう言うと腕を組んだ。なんか言ってるこっちが恥ずかしくなってきた。
「・・・・そもそも何でそれを私に聞くの。サエとかに聞けばいいでしょ?」
「だってサエさんとそれぐらいいってるのかと思って。」
「はっ?私?」
「うぃ。」
「・・・・・。」
その言葉に絶句すると、しれっとそう言ったダビデの頭を部誌で叩いてやった。頭をさするダビデの姿を見ながら立ち上がる。
「違うの?」
「違うもなにも、私とサエはただの幼なじみです!」
「ふーん。」
「ほら、帰るよ。」
ふーんって何だ。私は頭に浮かんだサエの顔を急いで振り払った。
12.1.7
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