長くなるのだけれど話をしよう。
財前光君と言う人物がいる。彼は同じクラスの白石君と忍足君のテニス部の後輩である。そして私は財前君に嫌われているようだ。
彼との出会いは半年前。引っ越してきたばかりで最寄りの駅で迷っていた私がナンパされていた時。通りかかったらしい財前君が助けてくれた。「ありがとう」とお礼を言った私に財前君は「どんくさい奴やな」とだけ言って去っていってしまったのだった。
そこで関西の人は冷たい、と思わなかったのは白石君と忍足君のおかげである。その話を2人にしていたら、なんと財前君とに再会。



「あ、あの時はありがとうございます。」

「・・・先輩やったんすか。」



そう言われて私の後ろで白石君と忍足君が爆笑した。何で?
それ以来私は何かにつけて財前君に嫌われている。「邪魔なんでどいてくれません?」とか「先輩遅いっすわ」とか「先輩これ嫌いやろ?俺が食べたりますわ」とか。会う度に何かしら言われ、からかわれ。
白石君と忍足君曰わく、財前君はあぁ見えていい奴らしい。という事は私だけ嫌われているんじゃないか。私は別に彼が嫌いとかはない。まぁ、苦手?ではあるけど・・・・。



「先輩、人の話ちゃんと聞いとりますか?」



そして今もそうである。自販機の前でばったり遭遇。早いところジュースを買って教室に戻ろう。うん。
しかし、私の姿を見つけた財前君は私の元にやってきてそう言った。



「ご、ごめん。」

「まぁええわ。で、どうなんすか?」

「う、うん、OKOK。」

「じゃあ、日曜駅前に10時っちゅー事で。」



え?
なんとなく曖昧に答えてしまったら、財前君はそれだけ言うと去っていってしまった。知らないうちに話が完成していたし。というか本当に何の話!?日曜駅に10時って、どういう・・・・。
混乱しながらジュースを買って教室に戻ると、白石君と忍足君が私の元にやってきた。



「なんや水くさいやんか、藤咲。」

「え、何が?」

「何が、って自分財前とデートするんやろ?」

「で、デートぉ!?」



プシュッ、と言って持っていたジュースが机に散乱した。「うわっ」と言った忍足君。白石君はティッシュで机を拭いてくれる。で、デート?私と財前君が?



「わ、私財前君に嫌われてると思うんだけど・・・。」

「それはないやろ。」

「え、何で?」

「むしろ逆やろ。」

「逆?」

「自分、めっちゃ財前気に入られとるやろ。」

「えぇぇ!?」

「藤咲さんの姿見ると何や妙にテンション高ぉなっとるし。」

「なってるの?あれで?」

「部活でも名前の話時々しとるし。」

「・・・・・。」



信じられない。財前君には嫌われていると思っていたけど、どうもそうではないらしい。ほっ。
ん?ほっ?何で安心してるんだ私?



「結果報告、期待しとるで。」

「まぁ、頑張り。」



さしあたっては日曜日どうするのかを考えなくては。私は少なくなったジュースにストローを刺すと、それに口をつけた。


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