「ねぇ。」
「何、サエ。」
「消しゴム取って。」
「はい。」
「ありがとう。」
テスト勉強ほど嫌なものはない。部活はなくなるし、友達とも遊びに行けないし、勉強もしなくちゃならないし。
「もう、やだ!」
「始めてからまだ10分もたってないだろ。」
「そうだけど嫌なものは、嫌!」
そう言って持っていたペンを放り投げると、ゴロンと横になった。
そんな私を見ながらサエが亮みたいにクスクス笑った。
「ねぇ。」
「今度は何?」
「ここ、どこだか分かってる?」
サエはそう言うといつものように私に微笑む。
私はそんなサエから視線を綺麗な天井に向ける。
「どこって、サエの家でしょ。」
「うん、正解。」
「何、クイズ?」
「じゃぁ、ここが男の部屋だって事も分かってるんだ。」
サエのそんな声が聞こえてきたかと思ったら、私の視界にサエが映った。するとあっという間にサエの手が私の手首を床に押さえつける。
傍から見たら完全に押し倒されてる状態だ。
「さてここで問題です。」
「はい。」
「俺は今どんな気持ちでしょうか?」
「スカートのまま自分の部屋で寝ている羊を食べたいお腹のすいた狼の気持ち。」
「正解。」
サエはにっこり笑ってそう言うと私にキスをした。いつも思うけど、サエのキスは粘っこい。
唇が離れたのを見計らって言ってやった。
「彼女さんいるのに、いいの?」
そしたらサエも綺麗に笑って私に囁いた。
「君こそいいの、彼氏いるのに?」
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