クリスマス会in六角テニス部。
それに何故か私は招待された。冬場の部活は暗くなるのが早いから部活終わりにやるのでは遅くなってしまう。なので、オジイさんの許可を取り部活をお休みしての開催という事らしい。
部室のドアを開けると、佐伯先輩が爽やかな笑みを浮かべ私を見つめた。



「いらっしゃい。」

「お邪魔します・・・。」

「いらっしゃい、待ってましたよ!」

「いらしゃいなのねー。」

「おぉ、ちゃんと連れてきたみてぇーだなダビデ。」

「うぃ。」



レギュラー陣に迎えられ、私の後ろにいた天根君に背中を押されて近くの椅子に座る。
天根君も私の隣に座った。
部室を見回せば窓の上には飾りつけがしてあり、中央に集められたテーブルの上にはお菓子や飲み物や小さなツリーが置いてあった。



「オジイは兎も角・・・あの二人は?」

「あぁ、あの二人は買い出しに行ったんだ。」

「しばらくしたら帰ってくるだろ。先に始めちまおうぜ。」



黒羽先輩がそういうと葵君が大いに頷いた。そんな二人を見て佐伯先輩が苦笑いを浮かべている。そんな様子を眺めていると、私の前にケーキが置かれた。



「あの、これ・・・。」

「俺の特製クリスマスケーキですよ。」

「いっちゃんのケーキは絶品ですよ〜!」

「遠慮するな。」



紙のお皿にのったのはシンプルなショートケーキだった。白いクリームの上には砂糖菓子のサンタさんと板チョコでメリークリスマスの文字。
ちらりと天根君の方を見れば、頷かれた。



「いただきます。」

「召し上がれ。」

「じゃぁ、俺も・・・・。」

「こらこらダビデ、当然の様に残りのホールを食べようとしちゃダメだろ。」

「そうだよダビデ!僕たちとオジイの分まだ取ってないんだから!」

「一旦戻せ!」

「あぁ!」

「ダビデの分少し大きく切るから、それで我慢するのね。」

「・・・・・・・・。」



そう言って樹先輩は器用に残りのケーキを切り分けた。その中でも大きめなものを天根君の前に置く。
天根君は少ししょんぼりとしながらそれを見つめると、近くのフォークを手に取った。本当に甘いもの好きなんだな・・・・・。

「あっ、天根君。」

「ん?」

「チョコかサンタさん、どっちかあげるよ。」

「いいのか?」

「うん。」

「じゃぁ・・・・チョコ。」

「分かった。」



私も近くのフォークを取ると、それにチョコをのせた。そして手を添えて天根君の方に運ぶ。



「はい。」

「ありがとう。」



天根君のケーキがのるお皿の上に置こうと思ったが、彼は顔を近づけてそのままダイレクトにチョコに食らいついた。
驚く私をよそに天根君はボリボリとチョコを頬張っている。



「美味い。」

「よ、よかった・・・・・。」



なんだか急に恥ずかしくなって、ケーキに手を伸ばした。フォークで切って、それを一口で口に入れた。
ケーキは程よい甘さとふわふわのスポンジで・・・・・・まるで売っているものみたいだった。



「・・・・美味しい。」

「そう言ってもらえると嬉しいのね。」



呟いた私の言葉に、樹先輩が嬉しそうに微笑んだ。ケーキもその優しい笑顔と一緒なんだ。・・・・・今度教えてもらおうかな・・・・・・。


「ケーキで好景気・・・・ぷっ。」

「あははは。」



天根君がケーキを頬張りながら嬉しそうにダジャレを言う。そんな彼につられて笑えば黒羽先輩がため息をついて私を見た。



「・・・お前な、無理してこいつのダジャレに笑わなくてもいいんだぞ?」

「無理なんてしてないですよ。」

「口元。」

「ん?」

「クリーム付いてる。」

「え!?」



天根君に言われて急いで口元のクリームを拭おうとした。が、その前に天根君の手が私の肩に置かれた。かと思ったら口元にやわらかい物が触れて、すぐに離れた。
今度こそ思考が停止した私の肩から天根君が手を離す。



「甘い・・・・いたっ!!」



天根君がそう呟いた瞬間、黒羽先輩がその頭を叩いた。たぶん思いっきり。
そして頭を抑えがなら先輩に振り返る天根君の首に腕を回す。



「いたたたた、バネさん、たんま!!」

「うるせぇ、ダビデ!お前、何やってんだ!」

「うーん、せめて俺たちがいない所でやって欲しいかな。うん。」



天根君の髪をぐしゃぐしゃにし始めた黒羽先輩と、視線を反らす樹先輩と、葵君の両目を手で隠しながら爽やかに微笑む佐伯先輩を見てようやく何が起きたのかを理解できた。
くくくく、唇が当たった・・・・・。
持っていたフォークが音を立てて床に転がった。


ケーキとどっちが甘いかな?




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わいわい六角が好きです。
そして、素敵な企画に参加させていただきまして、ありがとうございました!

こしあん (プリムローズ/企画提出物)

2011/12/24



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