「切原。」

「何だよ。」



瀬名に名前を呼ばれるが、顔を上げずに返事をする。
あーもう、何で日誌ってこんなにも面倒くさいんだよ。



「日誌ならまだ。」

「そうじゃなくて。」

「何だよ。」

「あのさ、切原って・・・・。」

「おう。」

「好きな人いるの?」



ポキッ。
シャーペンの芯が折れた。平然を装いながらも俺はまたシャーペンの芯を出す。
ってか何なんだよこいつ。何でこうサラっと聞いてくるんだよ!?
顔を上げずにちらっと瀬名を見ればいつものように俺を見つめていた。俺は意地でも顔を上げないと決めると、また日誌を埋めるべく手を動かす。



「・・・いきなり何だよ。」

「いや、気になったから。」

「気になったって、お前・・・・。」

「だってほら、前に切原私に聞いてきたじゃん。」

「そう、だっけ?」

「そうだよ。だから、切原にもいるのかなーって思ってさ。」



気づかれないようにため息をついて顔を上げれば、興味津々の瀬名の目とぶつかった。


「でさ、いるの?」

「な、何でそんな事お前に言わなきゃなんねーんだよ!?」

「って事はいるってこと?」

「は、はぁ?」

「切原気づいてる?顔、赤くなってるよ?」



瀬名はにやにやしながらそう言った。俺は頭をかくと、シャーペンを放り投げた。
今更言い訳しても無駄な気がした。大きくため息をつくと、やけくそになった。



「あーーーー、そうだよ、悪いかよ!!」

「え、嘘、マジで?」

「・・・・言わせたのはお前だろ?」

「誰誰?私の知ってる人?」



お前だよ!だなんて、絶対に今は言ってやらない。
今言ったら確実に後でいろいろ馬鹿にされる。絶対。



「べ、別にいいだろ誰だって!!」

「えー。」

「だ、大体、俺の好きな奴知って・・・・どうするんだよ?」

「え、応援する。」



・・・・・・即答かよ。
俺は何度目か分からないため息をつくと、またシャーペンを持った。
大体何だよ応援するって。応援してくれる必要なんてまったくないんだよ。
あー、もう本当になんで俺こいつの事好きなんだろう?



「あれ、何か怒ってる?」

「怒ってない。」

「そ、でも機嫌は悪いみたいだね。」

「・・・・・・。」

「そんなに私に応援されたくないのか。」



瀬名は少し残念そうにそう言うと視線を外した。
・・・・そりゃ瀬名に他の奴との応援を頼むなんてまっぴらごめんだ。
でも細めたその目にちょとだけ罪悪感を感じた。



「はー、もし私が切原応援したら私も切原に真田先輩との事応援してもらおうと思ったのに。」

「は?もしかしてそれが狙い?」

「当然!」

「・・・・・・・やっぱり絶対に嫌だ!」

「はぁ?何で!!??」



瀬名はそう言うとまた俺の方を向いてほっぺを膨らました。そんな顔を見ても絶対に副部長となんか応援してやるものかと誓った。
というか、さっきの俺の罪悪感を返せ。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -