「クリスマスなんてなくなってしまえ!!!」



そう言ってつっぷしたのは俺が絶賛片思い中のクラスメイト。
呪文のようにその言葉を繰り返すこいつにちょっと同情する。なんせこいつ、前日に足捻挫したんだから。



「ちくしょう、なんでこんな時に捻挫するんだぁぁぁ、私の馬鹿!」

「まぁ、なんつぅうか・・・・お前らしくていいんじゃねぇ?」

「黙れ切原。」



そう言って顔を上げて俺を睨むその顔は、正直対して怖くはない。
俺はストローで紙コップのコーラをすする。
流石のこの日はファーストフード店にもカップルが多く目立つ。



「でも捻挫した時真田副部長に運んでもらってたろ。」

「そう!それだけはラッキーだった!あの真田先輩にお姫様抱っこされたとか・・・・・考えただけでもやばい。」

「そーかよ。」

「何だよ、何でいきなり不機嫌になるわけ?」



それを聞いてくるお前もお前だ。俺の気持ち知らないふりしてるのか、本当に知らないのか、キラキラした目で副部長の話しやがって。



「なってない。」

「なってるし。」

「なってない!」

「もー、そんなんだから彼女できないんだよ!!」

「はぁ?」



さすがの俺でもその言葉にカチンときた。
何で俺がクリスマスの部活終わりにお前に会ってるか少しは考えろっての。
音を立ててコーラを飲み干すと、紙コップをぐしゃりと潰す。



「お前も人の事言えねーだろ!」

「わっ、私はいいんだよ!」

「そうだったな!副部長の写真眺めてクリスマス過ごすんだったな!」

「ちっ、違うし!そんなさみしい奴みたいな言い方すんな!」

「実際そうだろ!」

「はぁ?!」



次第に声が大きくなっていったのか、いつのまにか周りの視線が俺たちの方に向いていた。
こいつはわざとらしく咳払いすると、大きくため息をついた。



「・・・まぁどのみちこの足じゃクリスマスは満喫できそうにないですよ。」

「・・・・・・・・。」



少しさみしそうにそう言ったその横顔を見つめながら、俺はある事を思い出した。
鞄の中からそれを探し当てると、少ししわくちゃのそれをこいつの前に放り投げる。


「・・・・・なにこれ?」

「俺からのクリスマスプレゼント。」

「はぁ?ゴミならちゃんとゴミ箱に捨てなさい。」

「ちげーし。よく見ろよ。」



そう言って俺はそれを広げた。
それは丸井先輩から貰ったカラオケのペア半額券。しかも日付は今日までだ。



「カラオケだったら、その足でもいけるだろ。」

「まぁ、行けるけど・・・・・。」

「なっ、何だよ、俺と・・・・・俺とクリスマス過ごすのが嫌なのかよ?」



ぽろっと口から出たその言葉にこいつも驚いた表情を浮かべたが、言った俺本人が一番驚いた。
言ってから急に心臓がバクバクと音を立てた。何で俺がこんなにドキドキしなくちゃなんねーんだ。
するとそんな俺を見て、こいつがくすっと笑った。



「まぁ、そんなクリスマスも、ありかな。」



そう言って笑った顔は、俺が一番好きな顔だった。


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頑張る赤也(笑)




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