鳳君の話によると、クリスマスは部活。そしてあの跡部先輩主催のクリスマス会があるという。
私はと言うと1人で買い物に来ていた。と言ってもぶらぶらと歩いていつの間にか学校に来ていた。ひっそり静まり返った校門前にぽつんと立っている。
日吉君へのプレゼントを買ったが・・・・・クリスマスに渡すのは無理かもしれない。ため息は白く凍った。
その時、ポケットに入れておいたケータイが震えた。急いで取り出してみればそこには日吉君の名前が。



「えっ!?」



しかも着信!?あたふたしながらも私はようやく通話ボタンを押す。



「もっ、もしもし?」

『日吉だ。今いいか?』

「うん、勿論!」



日吉君の声を聞いたら急に心が暖かくなってきた。日吉君に言わせたら単純な奴なんだろうな。



『お前、今どこにいる?』

「えっと、学校の前・・・・・。」

『学校?』

「うん、校門の前・・・・・。」



日吉君は電話をかけながら歩いているのか、沈黙の向こうから足音だけが聞こえてきた。



「ひっ、日吉君?」

『・・・分かった。今から行くからそこにいく。』

「いっ、今から?」

『いいか、そこを動くなよ。』



私が返事を返す前にブツリと電話が切れた。
しばらくそのままポカンとケータイを見つめていたが、急いでそれをポケットに戻す。
・・・えっ、来るって事は、会えるって事だ・・・・。
嬉しい反面、もっとおしゃれな恰好で来るんだったと後悔した。




5・6分後。薄暗い道の向こうから日吉君がやってきた。しかも走って。



「ま、待ったか?」

「そんなに待ってないよ。それより日吉君、走ってきたの?」

「あぁ。」

「何で?」

「何でって・・・・女を一人でこんな所で待たせる分けにはいかないだろ。」



そう言って日吉君は深く息を吐き、乱れた息を整える。
今日は絶対会えないと思っていただけあってか、会えた事がすごく嬉しい。
でも、跡部先輩主催のクリスマス会が行われると聞いていたんだけど・・・・。



「でも大丈夫なの?クリスマス会、抜け出してきちゃって?」

「・・・・・何でお前それ知ってるんだ?」

「え、鳳君に教えてもらって・・・。」

「・・・・・いいんだよ。どうせ俺も退屈してた所だったからな。」



そう言って視線を反らした日吉君の隣に行くと、頭を撫でられた。
それだけで満足してしまう私は相当彼に会いたかったんだな。



「あっ、日吉君これ。クリスマスプレゼント。」

「俺に?」

「うん。」




持っていた紙袋ごと日吉君に差し出した。誕生日はタオルとテニスに使えそうなものだったので、今回はペンケース。忍足先輩と鳳君に選ぶのを手伝ってもらったのは日吉君には内緒だ。
左手でそれを受け取った日吉君はコートのポケットから小さい箱を取り出した。
そしてそれを私に差し出す。



「・・・・これは?」

「俺からだ。」

「・・・いいの?」

「いらないなら別にいいが。」

「いる!・・開けていい?」

「あぁ。」



ドキドキきならがら小さい箱のリボンを解いて箱を開ける。そこには青い石が付いた髪留めが。



「日吉君。」

「何だ?」

「・・・・来てくれてありがとう。」



私はそう言うと日吉君の胸にくっついた。一瞬日吉君が体を固くさせたが、ため息と共に元に戻る。
顔を肩に押し付ければ優しく髪を撫でてくれた。




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あれ?これはぴよですか?(笑)



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