「剣太郎って、将来絶対有望だと思う。」


お昼休み廊下を歩いていた僕にそんな声が聞こえた。見れば5さいさんがサエさんと話しているのが遠目で見えた。



「部長として意外としっかりしてるし、優しいし。」

「まぁ、ちょっとやんちゃで抜けてるけどね。」

「そこもまたあの子の良い所でしょ?」



立ち止まって近くの植え込みに隠れるようにしゃがみこんだ。そして2人の様子をそっと伺ってみる事にした。
僕は彼女、5さいさんが好きだ。
告白、してみたいけど・・・小さい頃から一緒のサエさんが、ライバルじゃな・・・。



「ベタ褒めだね。」

「勿論、剣太郎は可愛い可愛い弟みたいなものだからね。」

「ふーん。」



・・・弟。分かってはいるけど、彼女のや口からその言葉を聞くと、なんかすごく凹む。
僕だって5さいさんの事を小さい頃から本当のお姉さんのように慕ってきた。でもちゃんと、僕は彼女を女の子として好きなんだ。僕は視線を下げてため息をついた。
確かに、僕みたいなやんちゃで抜けてる1年生よりも、頼りがいのある3年生のサエさんの方が彼女にはお似合いだ。
教室に戻ろう。いつまでもここに居ると惨めになっていくだけだ。



「だったらさっさと告白すればいいのに。」



へ?


「か、簡単に言わないでよ、サエ・・・。」

「だって本当の事だろ?多分本人以外みんな知ってるし。」



また顔を上げれば、サエさんが手に紙飛行機を持っていた。サエさんはそれを無駄のない動きで飛ばした。
僕の方に。



「剣太郎は将来有望なんだろ?なら今のうちに繋ぎとめてなおかないと、どっかの誰かに取られちゃうかもよ?」



綺麗に織られた紙飛行機が、僕の足元に音もなく落ちてきた。恐る恐るそれを手に取って紙飛行機を開くと、サエさんの文字で一言だけ書かれていた。



《剣太郎もね》



僕は勢いよく立ち上がった。植え込みの木ががさっと大きな音をたてたので、遠目にいた5さいさんも目を丸くさせてこっちを見ているのが分かった。



「あれ、剣太郎。居たんだ。」



白々しいサエさんを見ながら僕は持っていた紙飛行機をくしゃくしゃに丸めてポケットにしまった。
やんちゃで抜けてるこんな僕だけど、貴女の言う通り、将来有望になってみせます!!
その為に今する事は・・・僕はニヤニヤするサエさんを横目に5さいさんに向かって歩き出した。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -