次の日。
佐伯先輩の書いてくれた地図を片手にヒカル君の家の前に来ていた。
手には途中で買ったスポーツ飲料と誕生日プレゼント。だって今日はヒカル君の誕生日。本当は部活の後のパーティにお邪魔してその時に渡そうと思った。この前の事もその時に謝ろうって・・・。
息を吐くとインターホンに手をかけた。女は度胸って何かに書いて・・・しかしその度胸は玄関のドアが開いた事によって発揮されることはなかった。



「あらっ。」

「・・・こ、こんにちは。」



出てきたのは長身の美人さんだった。美人さんは私に近づいてのぞき込むように私を見つめる。



「もしかして、ヒカルの彼女ちゃん?」

「も、もしかして、ヒカル君のお姉さん、ですか?」



美人さんはニコっと笑うと、私の頭を撫でた。そうだ、ヒカル君にはお姉さんがいるんだった。
美人さん、ヒカル君のお姉さんは私の手を取ると私を家にあげた。そしてそのまま階段を上がる。



「ヒカルの部屋はここよ。」

「え、あの・・・。」

「虎次郎ちゃんから聞いたの、お見舞いに来てくれたんでしょ?ヒカルの為に。」

「あ、はい・・・。」

「ちょっと用事があるから出かけようとしてたんだけど、私が帰るまでヒカルの事お願いしていい?」

「え、あの・・・!」



お姉さんは私が言い終わる前にヒカル君の部屋のドアを開けた。



「姉貴、やっぱりゼリーじゃなくて・・・・。」

「あんた熱があるんだからちゃんとベッドで寝てなさいよ。」

「そ、それどころじゃない、何で、おめでとうが、」



部屋にはスウェット姿のヒカル君が。いつものようなバッチリヘアーでなく下がった姿初めてみたかも・・・。
お姉さんは私の姿を見て目を丸くさせたヒカル君を蹴りながらベッドに追いやると、涙目のヒカル君がお姉さんを睨む。



「何よ、折角あんたの看病しに来てくれた彼女ちゃんを追い返せっていうわけ?」

「そう、なのか?」

「う、うん・・・。」

「すぐ戻るけどちょっと出るから、大人しく寝てなさいよ。」

「うぃ。」

「後、彼女ちゃんに変なことしちゃダメよ。」

「す、するか!!」



ヒカル君が睨みながらそう言うとお姉さんは笑いながら部屋から出て行ってしまった。足音が遠ざかると、ヒカル君が大きくため息をついた。



「ごめんね、いきなり来ちゃって。」

「いや、こっちも姉貴が悪かったな。」



上目でヒカル君を見れば、目が合った。しかしすぐに逸らすとは頭をかいた。

 

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