「そっか。見て見たいな、天根君が試合してる所。」

「見にくればいい。今度試合がある時、教える。」

「本当に?」

「あぁ。」

「うふふ、楽しみだな。」



二人で作るうちに机の上にはいつの間にか色とりどりのお花で一杯になった。
殆どが天根君作。私が一個作り終える間に二個作ってしまう天根君は本当に器用だ。



「・・・・・できた。」

「ん?」



また新たなお花を作り終えた天根君が私の方を見て少し目を丸くした。



「黄色と白でお花を作ってみました。」

「・・・・・・・。」



彼が黙々と作業を続ける中、私は黄色と白でお花を作成。黄色と白が交互に重なって私のものでも綺麗に見えた。



「あっ・・・。遊んでてごめんなさい。」

「いや、いいんじゃないか。」

「・・・・これは責任持って私がもって帰ります。」

「・・・・・・・。」



私はそう言うとそのお花だけ自分の鞄の上に置いた。
ゴムでくくって鞄にでもつけようかな?
・・・・・あっ、ゴムで思い出した。



「そう言えば。」

「ん、何だ?」

「これ真ん中止めるのホチキスなんだね。輪ゴムじゃなくて。」

「そうだな。あのアーチだとくくよりもテープか何かで止めたほうがいいだろうな。」

「そっか・・・・。」



私はそう言うと折った紙の真ん中をホチキスで止めた。
私のくだらない事にもちゃんと返事を返してくれる天根君にちょっと申し訳なさを感じた。
すると天根君は長い指で私の前にある黄色い紙を数枚取った。
そんな様子を見れば、彼とばっちり目が合った。



「黄色いお花作るの?」

「いや、そうじゃない。」

「じゃぁ、どうするの?」

「・・・・・・秘密。」



天根君はそう言うと、くるりと私に背中を向けた。そうなってしまうと天根君の大きな背中で、彼が何をやっているのかがここからじゃまったく見えない。




「きっ、気になる・・・・。」

「終わるまではダメ。」

「えー。」

「待ってろ、すぐできる。」



天根君は振り返らずにそう言った。体を少し横にしたりしてみるが、彼の背中でまったく何をしているのか分からない。
すぐにできる?彼はすぐにできる何かを作っている、という事なのか??
私はどうしても気になるので二人の間にあるイスに片手をついて身を乗り出してみた。



「できた。」



天根君が呟くと、くるりと振り返った。
急にこちらを向いた天根君に対処できず、私は身を乗り出したまま固まる。
天根君も距離が近づいた私に少し驚いたようだったが、すぐに私の前に今できたのであろうそれを見せた。



「・・・・お花だ。」

「うぃ。」



天根君の手に合ったのは紙のお花だった。ここにある全ての色を使ったお花。私がさっき作った黄色と白のお花よりも綺麗だ。



「ちょっとじっとしてろ。」

「え?」



天根君はそう言うと、私の、髪に触れた。




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