いよいよスポーツ大会まで一週間となった。
クラス対抗という事もあって、クラス内も活気付いてきていた。
出場種目も決まり、応援用の旗と鉢巻を作り準備は満タンだ。練習をしているクラスもある。
そんな中、ようやくアーチに使う資材が届いた。なので私を含めアーチ係の4人は放課後体育館に近い空き教室に集合していた。
「やっと来たな。」
「そうだな。」
この資材は東堂君と天根君がここに運び込んでくれたらしい。
藤堂君がそんな資材を叩くと、星野さんがそんな東堂君にポケットから取り出した紙を渡した。
「何だこれ?」
「えっと、大まかな設計図書いてみたの。飾りつけもある程度統一してたほうがいいかなーと思って。」
「おぉ、流石星野!」
星野さんは天根君と私にも紙をくれた。
そこには先生が書いたのよりもはるかに細かく書かれており、デザイン案も書いてあった。
「んじゃ、さっそく二手に分かれて作業するか。」
「うぃ。」
「そうだね。」
「うっ、うん。」
運び込んだ資材はそれなりの大きさがあるためか、作業は教室の前の方と後ろの方に分かれていた。天根君と私はその後ろの方。
東堂君と星野さんもいるが、二人だけの作業は流石に緊張する。
「じゃぁ、まずどうしたらいいかな?」
「とりあえず俺が組み立てるから、お前は支えといてくれ。」
「分かった。」
天根君はそう言うと部品を手に取り、それを組み立て始めた。
アーチは金属製でできており、それを土台に組み立てれば完成となる。
天根君が指示し、私が言われた所を支える。彼は手際よく素早く組み立てていき、あっという間にアチーが完成した。
見れば向こうも同じらしく、腰に手を当てた東堂君がこっちにやってきた。
「結構簡単だった。おぉ、けっこうでかいな。」
「そうだねー。」
「後は飾りつけだけだね。」
「そうだな。」
東堂君の後ろからやってきた星野さんが嬉しそうに手を叩いた。
先生に聞いた話だとこれを文化祭のアーチとしても使えそうという理由で購入したらしい。
確かに飾り付けるものを変えればいろいろと使えそうだ。
そんな事を考えながら隣の天根君をちらりと見れば、彼は腕を組みながらアーチを眺めていた。なんだか少し難しそうな顔をしている。
「・・・・・・。」
「どうしたのダビ君?」
「いや・・・・・かっこいい、囲い・・・ぷっ。」
「いや、囲いじゃねーし。ってか無理ありすぎ。」
天根君の突然のダジャレに間髪を入れずに東堂君がつっこんだ。
天根君が東堂君の肩に手を置く。
「お前、俺と一回コンビ組まないか?」
「断る。多分俺には無理、お前のそれにつっこむの。」
「残念。」
その二人の会話を見て、星野さんと私は笑ってしまった。
「お前等な、笑い事じゃないからな。」
「ごめんごめん・・・・。」
「ったく・・・・・とにかく今日はこれ片付けて解散だな。」
「そうだね、飾りの材料も貰ってこないといけないし。」
「あぁ。」
「兎に角、これ片付けちまおうぜ。」
私達は元の状態にそれを戻すと、3日後にまた集まると約束をし解散したのだった。
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